Eno.615 セロカ・ネイの日記

プロローグ:冒険者たる呪い

やっと僕たちはジーランティスの理想の島に降り立つことが出来た。

救助船ルートに近く、灯台や花火を作らなくても救助船が訪れる島。
つまり、脱出に必要な労力を探索に振り分けることが出来る。

僕たちの目的はふたつ。ひとつは「不思議な石」の獲得。
もうひとつは、それを用いた「星の記憶」の作成と使用。

そして、余裕があるなら、「不思議な石」「星の記憶」そのものの持ち帰り。
これらを達成するためには、不思議な石が最低3つと、莫大な資材が必要となる。

……わかっている。これらを僕らの出身世界に持ち帰ったところで、何の力も発揮しやしない。
これらはジーランティスに紐づいたアーティファクト。この世界を離れたら、ただの石ころに過ぎないのだと。

それでも、僕も相棒も、共に意見は変わらなかったーーこのふたつを持ち帰ると。

何のために?

答えはひとつ。僕たちが冒険者だから。

ここジーランティスで何かを成したという証拠が欲しいのだ。
いずれは全てが水没し、無に帰してしまうこの世界で、確かに僕たちが冒険したという証拠が。

だから僕たちは冒険者をやめることが出来ない。
これはもはや呪いだ。
この呪いを解くのはそう簡単にはいかないだろうーー無論、解く気もないが。

さぁ、訪れるたびに少しずつ表情を変えるこの世界で、僕たちは何を見つけることになるのだろう?