Eno.1060 居住作製ゴーレム-TKM01の日記

一方その頃2

「今帰った。入るぞ、我が妻」
『おかえりなさいませ。はい、どうぞ』
「ふむ、机の上に広げられている資料と展開されてる魔法陣……今日もゴーレムの開発か?」
『はい。事故とはいえ、試作品を失った開発時間は可能な限り取り戻していきたいので。
 思考回路ももっと簡単に編める機構にできれば、費用も時間も抑えられるのではないかと苦心しています』
「頑張っているな、だが身体は壊してはいけないよ。お前はどうもその気がある」
『……申し訳ございません』
「責めているわけではない、心配しているのだ。こうやって外から帰ってきた私もいるのだ、休憩にしようではないか」
『そうですね。今日は新鮮な茶葉が取れましたし、それを淹れましょう』
『――ヒツジ。お茶をお願いします。今日摘んだ茶葉で』
「ほほう、それは楽しみだ。今日も勇者たちは来たのか?」
『はい。いつも通り全員塩の柱になりましたが。そこの窓から見えると思います』
「ひぃ、ふぅ、みぃ……今日はなかなか多いな。大変だっただろうに、苦労を掛けるな、愛しい者よ」
『いえ、自律型ゴーレムの開発に比べれば易しいものです。やっぱり、ゴーレムはテレパシーで指示を出す方がずっと楽ですよ』
「ははは、私からすれば直接出向いて殴った方がよほど楽だがな」
『いけません、服が汚れてしまいます』
「分かっている」

「奥様、旦那様、ヒツジです。お茶をお持ちしました」
『入って』
「失礼します」
「ほほう、この距離でも妻の愛が詰まった芳しい香りが鼻腔を擽る……さ、そこのテーブルに置いてくれ」
『(いつもと同じなのですが……)』
「(いつも通りのことです、奥様)……では、失礼しました」