Eno.7 禍津神陽 セトの日記

10.無題

ちょっと寒すぎる。
少し前にも いやに冷え込んだことがあったが その時は差程気にしていなかった。しかし今日の冷え込みようは酷い。太陽神ラーは俺たちをお身捨てになったと言うのか。みたいな。陽の有るうちは燦燦太陽輝くサンセットビーチであると言うのに 何故夜になるとこうも防寒具が必要な気温まで落ち込むというのか。砂漠か テメーは。

しかし 俺たちはこのような気候に慣れていないこともない。何故なら 強靭無敵最強 であるので。しかしこの いかにもバカンスへ来ました みたいな頭の悪い服装だと 流石の俺たちも どうにも心身に堪えるものが。ある。全く認めたくは無いが。
衣装の替えを船に持ち込んでいたというのに。
非常用にと持ち込んでいた 野宿用のテントなどは弟分のような顔をして共に流れ着き 逆に冷え込む場合にと持ち込んだ替えの衣装は 俺たちから袂を分かつように去り 支配から逃れ 今も気ままに海の上を 漂っていると見た。
ふざけやがって……俺たちはいつでも用意周到勤勉理髪眉目秀麗容姿端麗であるのに。こんな。こんな思いを。何故。寒すぎる。お前は暑い時にスースーしていたらいいのだ。こんな時もスースーしなくていい。体感裸と変わらないではないか。寒い。こんなもの服ではない。もういい。そういう風に 俺たちの肌の上で巫山戯るなら 二度と着てやらない。


そうだ。料理しよう。
錯乱した訳では無い。俺たちは お料理もできる♪不可抗力である。宮殿では 一部の人間ちゃんたちの他に誰もやらないので 仕方なく やっているに過ぎない。仕方なくだが?工作はぶち壊すといけないので 不得手であるが 食材はぶち壊してもいいので この俺たち けっこー得意なのである♪料理は鏖殺♪かつ 勝利者にのみ許されし 蹂躙である♪

ところで 論拠ですが。
常に煌々と灯された火の傍らに居れば 常に暖まって居るのと同義ではないか?そうでしょう。俺たちは賢い。たいへん賢い。暖まりながら 美味しいお食事を作れるなら 人間ちゃんたちの探索も 今より捗るやもしれないね。
料理と言っても 俺たちの得意技は 肉。パン。生野菜。香辛料。スープ。豆。頑張れば甘味。以上。という感じなのだが。まあ。美味しいミートサンド程度なら 俺たちの手にかかれば朝飯前である。

草木のある場所へ出掛けると よい香りのする草が採れる。使わせて頂こう。この島で 猪が捕れるのは僥倖だった。俺たちには 馴染みのない肉だが この牛とも豚とも言い切れぬ濃厚な旨味を 活かさぬ訳には行くまいよ。
焼き上げた肉を 爪で引き裂き 香草と合わせ 切り開いたパンへ挟む……ああ。そう。ご紹介が遅れたが こちらは友達のパンだ。パン焼けるのだ。このシマ。シマに群生している植物が 大体の食材の代用になるのだ。我々は賢いので ある程度の種類を覚えた。

まあ。彼らの物語は大幅に割愛し こうして豊かな肉を湛えた ミートクラブサンドの完成である。爆熱で焼き上げねばならないのが難点であるが 幸い俺たちは こと爆熱を操ることに関しては長けている。いくらでも枝や丸太を割り 焼き上げ 燃料を作り出そう。
俺たちは よい兵器であるので 様々な用途にお使い頂ける。戦争の必要も 恐らく政治の必要も無いここで 俺たちから彼らへ与えられるものと言えば 食事であろう〜♪

どうか お腹いっぱい食べておくれ 生物ちゃんたち♪