【5 嘘を吐く】
ずっとずっと真面目に頑張ってた。
望まれるように、ひたすら。
だけど周りは、そんな僕を──

「……疲れたよ」
真面目に生きてる僕は評価されなくて、
ワガママに生きてるアイツが大事にされた。
間違いだと思った。この世界は間違ってる。
疲れたんだ、疲れたんだよ。
だから、僕は。

にこり、へらり。
──嘘を吐く。
真面目に生きるだけはもうやめた。
真面目に生きるだけ損ならば。
──嘘を吐く。
君の欲しい言葉は何だい?
演じてあげましょう、望むままに!
──嘘を吐く。
いつしかそれが、当たり前になった。
仮面の外し方が、分からなくなっても。
本当の自分が、分からなくなっても。
──嘘を吐く。嘘を吐く。
偽りで満たされた世界はほら、
こんなにも生きやすくて。
正直者は馬鹿を見るんだ。
真面目に生きるなんて無駄なんだ。
世界が間違っているのなら、
正しく生きても損ばかり。
◇
勇者を見ていると、苛々する。
どうしてそこまで“正しい”を追い求める?
間違っているものの方が多いのに。
君もやがて、僕みたいに損をするよ?

「……言っても無駄だろうけど、ね」
昔の僕は、君みたいに、“正しい”を信じてた。
だけど裏切られたから、
正しく在ることをやめたんだ。
この島は、僕には眩し過ぎる。

「……本当、馬鹿ばっかりだよ」