Eno.583 BlancusとYayauikの日記

Microcosmos03



 夢を見た。
 微温湯みたいな世界で、自分を必死に保とうとしている夢だ。
 捕まえていなければ逃げられる。
 捕まえていなければ奪われる。
 僕は必死だった。誰が何と言おうと間違いなく。
 必死だったのだ。それしか方法はなかった。
 他に出来ることなど高が知れている。
 誰もが僕を奪おうとする。
 侮って、支配して、征服しようとする。

 だけどひとつだけ。
 空虚の中で、飢餓の中で、ある日僕は自分を見つけた。

 微温湯みたいな世界は、僕の世界でもあった。
 柔らかくて、温かくて、空っぽで、血の匂いがする。
 だから奪われないように、離さないように必死だった。
 牙を立て、爪を立てて、絶対に逃がさないように捕まえていた。
 痛いよ、と時々笑い混じりに聞こえる。
 血が流れるのは生きているからだ。
 痛いのはいいことだ。
 嬉しくなって、更に強く牙を食い込ませた。



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