鬼 - 壱
鬼は屈強で凶悪だが、統率が取れない。
戦いの前に取り纏める者を立てる事もあるが、頭に血が上ると理性を失う生来の気質から、結実することがまずない。
その事から、適切な対策さえすれば討伐は可能な魔族に分類されていた。
何より、鬼の一族は、同じ鬼同士で日常的に喧嘩をしており、何をせずとも減少傾向を辿っていたのである。
故に、程なくして緩やかに絶滅するであろう──というのが学者の見解であった。
一族のこの致命的な弱点を克服させたのが、今は魔王軍にて四天王の座を貰い受けた一人の鬼である。
──────
長く生きるほど、必然と多くの諍いに巻き込まれる。
鬼であれば殊更に。










本土から離れた島。その中にある、煙たい里。
常に乱痴気騒ぎのこの里に、静かな夜は無かった。
鬼は競争心が強い。
目が合うと突進せずにはいられない。自分より格上だろうが格下だろうが見境なく勝負を挑むから、尽く五十年ほどでポックリ命を落とす。
長く生きる鬼は、弱くヘタレな、無様に生きながらえた腰抜けの落ち武者──とも揶揄される。

この鬼はおよそ七十年もの間、この里で“そうして”生きてきた。
戦いの前に取り纏める者を立てる事もあるが、頭に血が上ると理性を失う生来の気質から、結実することがまずない。
その事から、適切な対策さえすれば討伐は可能な魔族に分類されていた。
何より、鬼の一族は、同じ鬼同士で日常的に喧嘩をしており、何をせずとも減少傾向を辿っていたのである。
故に、程なくして緩やかに絶滅するであろう──というのが学者の見解であった。
一族のこの致命的な弱点を克服させたのが、今は魔王軍にて四天王の座を貰い受けた一人の鬼である。
──────
長く生きるほど、必然と多くの諍いに巻き込まれる。
鬼であれば殊更に。

「なんじゃオラやんのかワレェ!」

「上等じゃコラ!?土俵入れッサーー……フッフッ」(拳に息を振りかける)

「おっ、始まるぞ!
な!審判やれよ人間〜!“やり方”は……分かってるよな〜?」

「ひぃ……ッ!」

「に!
…ひっ……?」

「に…しがたぁ〜〜〜ッ?」

「てンめ東だろコラァ確認しとけェ!!!」

「ナメとんのかワレェ!!!」

「ひぃぃぃッ!!東東東東東東東〜〜〜ッ!!!」(クルクルクルクル)

「ギャハハハハハ!!!!!」
本土から離れた島。その中にある、煙たい里。
常に乱痴気騒ぎのこの里に、静かな夜は無かった。
鬼は競争心が強い。
目が合うと突進せずにはいられない。自分より格上だろうが格下だろうが見境なく勝負を挑むから、尽く五十年ほどでポックリ命を落とす。
長く生きる鬼は、弱くヘタレな、無様に生きながらえた腰抜けの落ち武者──とも揶揄される。

「…………」
この鬼はおよそ七十年もの間、この里で“そうして”生きてきた。