Eno.91 シィリヤーレルの日記

【6 拒絶の凍土】

 
 セツカがよそよそしくなった。
 それに、少しほっとしている僕がいた。
 良いのさ、それで良いのさ。

 僕に優しくしないで、僕を大切に思わないで、
 僕に近寄らないで、僕に触れないで、

「──僕を、愛さないで」


 ねぇ、嘘吐きな僕は悪い奴だろう?
 正しくないことをしている僕は、
 最低な奴だろう? ねぇ?

 温もりなんて必要ないから。
 僕なんかに踏み込まないで、
 他のみんなを大事にしてあげなよね。

 愛はいっぱい貰ってるから。
 これ以上は、キャパオーバーなのさ!

「……そういうことに、しよう」


 だからね僕はね。
 絶対に、絶対に!

 ────たいなんて、言わないから。

 全て拒絶して遠ざけておけば、
 憧れも羨ましい気持ちも痛みも感じない。
 知ればますます痛くなるなら、
 遠ざけて、何でもない顔で、笑っていよう。

今日も、にこにこ。


「笑ってるなら、痛くないでしょ?」


 心の全てに蓋をして、仮面を被って。
 さぁ、踊りましょう、演じましょう。