Eno.306 岬カノアの日記

【幕間】違和感、そこに見えた風景

-何かがおかしい…。

[兆候]が押し寄せた堺地区の調査は人知れず行われていた。
「隊長、あの報告ここであってるんですかね。何も変わりなく人々が生活してますよ。」
彼はそう答えた。
 私の目には人気がない崩れた建物とえぐれた道路が続く風景が見えている。

 [異世界]の存在が表向きになる以前から、その存在を捉え触れることができ彼らとの交渉を担う[三有]と呼ばれる者と、隣人さんたちがお互いの業を伝え合いこの国…[世界]を守ってきた。ここに派遣された調査団の隊長は[三有]の一人。
「隊長、頼んでた装備届きました。んっ?これゴーグル?あっ、私たちの分か。」
この地区に住んでいた[空間収束]研究の第一人者岬氏の異変を感じていた村正氏が、
作った装備をつけた隊員はここで起きていたことを目の当たりにして立ち尽くしていた。
「…、本来の住人が生存しているか調べるのが任務なんですね。」
と、受け入れることができた隊員がそう言った。

インフラ定期メンテナンスの事前調査を装い、一点づつ確実に架空の人々が生活する架空の地区を進んでいく。
転々と残る[兆候]の残滓は岬氏宅に近づくほど濃く一定の法則に沿って動いているそれは、

    押し寄せる波のようだった-

「報告、岬氏宅跡に[門]の痕跡を発見。調査用の装置を投入次第帰還します。」