Eno.16 戌ヶ迫 朔也の日記

しれんの4ページ ~ 笑門来福、心を束ねて

迫る寒暑を耐え忍び、ようやくまみえた日本晴れ。
喜び勇んで外へと出れば、眼前に迫るは未曾有の嵐。

「あんな真っ黒い雲、ムサシでも見たことなかったなー……」


「すぐに気がつけて、ほんとーによかったぜ。
 準備無しであんなのとぶつかったら、ふっ飛ばされちゃうもんなー」


力を合わせて防備を固め、ずらりと並んだ壁3枚。
東奔西走、備蓄を揃え。準備は万端、覚悟も決めて。

「レナードのにいちゃんも、イザベラのねーちゃんも、リリルカもクーも、
 みんなで力を合わせたらあっという間に"そなえ"ができたぜ!」


「これならどんな嵐がきても、きっと大丈夫だー!」


間近に迫った黒雲見上げ、負けるもんかと見得を切る。

「絶対に乗り越えて、みんなでラーメンパーティーをするんだ!」


「"笑う門には福来る"、スエキチもそう言ってたしなー。
 みんなが笑顔で過ごしてるこの島は、嵐なんかに負けたりしねーぜ!」




「……そーいえば、あの音はやっぱり幽霊じゃなかったんだなー。
 レナードのにいちゃんたちに言わなくてよかったー」


覆う暗雲、轟く雷霆。雲間を裂きては地を穿つ。
篠突く雨音、泥濘む大地。されども重ねた絆は折れず。

大波小波を乗り越えて、少年は今日も船を漕ぐ。
波濤のその先、まだ見ぬ明日へ——。