Eno.419 ザック・ラパンの日記

漂流日記11

予兆があった通り、嵐が来た。
皆は事前に準備に動いてくれていた。壁材を使った拠点の強化、食糧や水の確保、今後の拠点拡張の計画……
嵐を前に、俺の心はあの沖に立つ白波のように激しく沸き立っていた。
日々の生存に汗を流す漂流者ではなく、一人の決闘者としての俺を、呼び起こすかのように。

その理由はすぐに理解できた。心ではなく、魂で。
アオイ・グッドマン。
これほどの熱き魂を秘めた男が、すぐ傍にいたことを。
漂流者としての俺は、あるいは、忘れ去っていたのかもしれない。


嵐吹きすさぶ砂浜での決闘(デュエル)を、俺は生涯忘れることはないだろう。
デュエリストとしてのアオと、互いに力を尽くし、魂を存分に交し合った。
まさに、首の皮一枚の勝利だったと言えるだろう。
記憶をなくしていて、これほどの使い手とは……
記憶が戻ったときのアオがどれほどの強さを秘めているのか、想像するだけで血がたぎるようだ。


勝負のあと、俺の切り札を、アオに託した。
『銀河を狩る兎(ギャラクティカ・ザック・ラパン)』───
きっと、アオの運命を照らしてくれるだろう。


嵐が収まる気配は、いまだ、ない。