■:×××の手記/××の日記
……ええ、死んだのです。「勇者エルディス・エアリアル」は。
間違いなく、私たちの目の前で。すべて、見ていました。
固まって動けなくなったフィルちゃん。私たちを守ろうと前に出たモルト。
そして。

……エルディス様をゆすり、声をかけ続けるディータ様。
私は駆け寄り、回復をかけようとしました。私なら、蘇生も、完全回復も使えましたから。
けど、それは、エルディス様自身の手によって叶いませんでした。
私とディータ様は、エルディス様によって突き飛ばされました。
先ほどまでいた場所には、黒い矢が刺さっていました。
国王が、国宝の大弓を使って撃ったのです。そして、その矢は濃厚な瘴気を放ったのです。
瘴気は、人間の生命力を阻害します。このままでは間に合わなくなる。だから、即座にそれを浄化しようとしました。
けど、次から次に矢は放たれて、間に合いませんでした。
そもそも、何故この場に国王と大司祭様がいるのか。何故エルディス様を殺し、瘴気まみれの矢を撃ったのか。
それがわかったのは、後の話でした。
……ええ、その場ではわからなかったのです。
ただ、その場でわかった……いえ、分からざるを得なかったことはありました。
大司祭様は、私たちに何かを放ちました。
攻撃魔法ではありません。それは、呪いのようなものでした。
……………………
…………彼らにとって、「魔王を倒した者たち」は邪魔だったのです。
本来は、共倒れを狙っていました。
何故、勇者への支援が僅かな金銭のみだったのか。
何故、国自体は平和そのものだったのか。
何故、「勇者」が噂にしかなっていなかったのか。
フィルは、声を奪われました。筆談はできますが、「信じられなくなる」呪いをかけられています。私たち以外に、意思疎通ができる人間はもういません。
モルトは、人間性を奪われました。今は異形の魔物となりながらも、この隠里の番人を務めています。ミィカちゃんの力がなければ。ただの獣になっていたでしょう。
私は、交流を奪われました。瘴気に汚染され切った私は、人のそばに行くだけで衰弱させてしまいます。魔物の彼らがいなければ、とっくに壊れていたでしょう。
そして、ディータは。
――――――――――――――――

……。
体を隠す黒いインナーの上から、青い服を着る。
胸当てのベルトを留めて、腰のベルトに鞘をかける。
赤いマントを留め、銀のサークレットを身に着ける。
「スワンプ」

魔法を一つ唱えれば、長い金髪は琥珀色のくせ毛になって。
「さあ!今日も、いろいろやらなくっちゃな!」

そう!勇者は簡単には死なないんだ!
エルディス・エアリアルは生きている!!!
――――――――――――――――
…………彼にかけられた呪いは、「狂化」でした。
間違いなく、私たちの目の前で。すべて、見ていました。
固まって動けなくなったフィルちゃん。私たちを守ろうと前に出たモルト。
そして。

……エルディス様をゆすり、声をかけ続けるディータ様。
私は駆け寄り、回復をかけようとしました。私なら、蘇生も、完全回復も使えましたから。
けど、それは、エルディス様自身の手によって叶いませんでした。
私とディータ様は、エルディス様によって突き飛ばされました。
先ほどまでいた場所には、黒い矢が刺さっていました。
国王が、国宝の大弓を使って撃ったのです。そして、その矢は濃厚な瘴気を放ったのです。
瘴気は、人間の生命力を阻害します。このままでは間に合わなくなる。だから、即座にそれを浄化しようとしました。
けど、次から次に矢は放たれて、間に合いませんでした。
そもそも、何故この場に国王と大司祭様がいるのか。何故エルディス様を殺し、瘴気まみれの矢を撃ったのか。
それがわかったのは、後の話でした。
……ええ、その場ではわからなかったのです。
ただ、その場でわかった……いえ、分からざるを得なかったことはありました。
大司祭様は、私たちに何かを放ちました。
攻撃魔法ではありません。それは、呪いのようなものでした。
……………………
…………彼らにとって、「魔王を倒した者たち」は邪魔だったのです。
本来は、共倒れを狙っていました。
何故、勇者への支援が僅かな金銭のみだったのか。
何故、国自体は平和そのものだったのか。
何故、「勇者」が噂にしかなっていなかったのか。
フィルは、声を奪われました。筆談はできますが、「信じられなくなる」呪いをかけられています。私たち以外に、意思疎通ができる人間はもういません。
モルトは、人間性を奪われました。今は異形の魔物となりながらも、この隠里の番人を務めています。ミィカちゃんの力がなければ。ただの獣になっていたでしょう。
私は、交流を奪われました。瘴気に汚染され切った私は、人のそばに行くだけで衰弱させてしまいます。魔物の彼らがいなければ、とっくに壊れていたでしょう。
そして、ディータは。
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……。
体を隠す黒いインナーの上から、青い服を着る。
胸当てのベルトを留めて、腰のベルトに鞘をかける。
赤いマントを留め、銀のサークレットを身に着ける。
「スワンプ」

魔法を一つ唱えれば、長い金髪は琥珀色のくせ毛になって。
「さあ!今日も、いろいろやらなくっちゃな!」

そう!勇者は簡単には死なないんだ!
エルディス・エアリアルは生きている!!!
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…………彼にかけられた呪いは、「狂化」でした。