Microcosmos04
夢を見た。
温かくてやわらかい、小麦とバターの香りがする夢だ。
小さな台に乗って、一生懸命背伸びして、やっと覗き見るテーブルの上。
丸い膨らみが気になって、腕を伸ばしてつんと指先で触る。
僕のやわらかくて小さな世界。
夢中になってつんつんつついていたら、こら、と頭の上から声がした。
やわらかな世界は、そうしてよく笑っていた。
それは僕の世界でもあったので、僕にとっても嬉しいことだった。
小麦とバターの香りがする。
もうちょっと待ってね、と笑う背中にしがみついて、ぐりぐり頭を押し付けた。
小麦とバターの香りがする。
その中にほんの少しだけの、血の臭い。
温かくてやわらかい、僕の世界。
誰かに盗られないように、ずっとこうして捕まえておかないと。
そう思っていたのに。
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