Eno.16 戌ヶ迫 朔也の日記

よあけの5ページ ~ 未知なる影と神秘の輝石

吹き荒ぶ風と轟く雷雨。
長い夜が明け嵐を乗り切り、見上げた空には日本晴れ。

「オレたちの勝ちだー!」


「へへ、一時はどーなることかと思ったけど、なんとかなるもんだなー。
 壁が2枚も壊れちゃった時は流石にびっくりしたけどなー!」


開けた視界のその先の、彼方に見えるは謎の影。
潮に流され打ち上げられた、異国情緒の漂着船。

「ほんと、でっけー船だよなぁ。
 しかも木で出来てるってことは、結構昔の船っぽいし……。
 でも、中の食べ物は腐ったりしないでちゃんと残ってたんだよなー。不思議だなー」


「あ、レナードのにいちゃんは"幽霊船かも"って言ってたけど、
 骨はなかったし、幽霊も出なかったぜ!」


無人の船を暴いて進む、たった一人の冒険譚。
大金持ちとはいかないけれど、見つけた財宝鞄に詰めて。

「銀のコップ? とか、金貨とか、お宝がいっぱいあった!
 賞味期限切れてそーなジュース? とかもあったけど……あれ、飲めんのかな?」


「へへ、この金貨と海賊の帽子は、オレの宝物にするんだー!」


そんな中でも一際目を引く、偶然見つけた不思議の結晶。

「本当になんなんだろーな、これ。
 なんかかすかに光ってるよーな? 持ってると、すげー変な感じ……」


「サバイバルガイドには色々載ってたけど……どうするかは、ひとまずほりゅーだな!」


嵐の最中さなかに現れたのは、見たこともない異形の魚。
強面ブヨブヨ、新種か否か。古代の海からこんにちは。

「なんかすげー顔してたなぁ……。
 クーが丸焼きにしてたみてーだけど、余計不気味になってたってゆーか……」


「結局、クーとイザベラのねーちゃんではんぶんこしてたぜ。
 味は……どーなんだろ。あんまうまそーには見えなかったけど……」




「" 資を束ね、時を重ね、意思を込めよ。
 さすれば、星の有り様をここに示さん "……かぁ」


「素材を集めて、時間をかけて、意思を込めろ。
 そしたら星の有り様を~ってことなのかな? ……星の有り様ってなんだろ。
 うーん、世界地図とか……?」


「……ダメだー。考えすぎて頭痛くなってきた……。
 そもそも作るかどうかもわかんないんだし、その時が来たら考えてみればいっか」




「ここに来てから今日で5日目。
 あの瓶に入ってたメッセージには、
 7日に1回、もしかしたら船が通るかもとか書いてたっけ」


「……みんなで、無事に脱出出来たらいいなぁ」



一難去ってまた一難。迫る刻限、残すは僅か。
七つの夜の先待ち受けたるは、海の藻屑か、明日あさひを見るか。

先の見えない水面みなもの上で、少年は今日も船を漕ぐ。
希望のオールを離さず握り、霧の向こうへ、日のさす方へ——。