Eno.165 冒険者ゼイルの日記

オレがここに来た原因

「ゼイル、お前しかできない依頼があるんだが、どうだ?報酬はグリーンスカイの酒瓶3本だ


おっ!良いじゃねえの!乗った!!



オレは酒が大好きだ。
仲間として、それを知っていたフォルテは…説明もせず依頼を持ちかけた。
今思えばいつものように、依頼内容を聞いておけば避けられたのでは?
と言ってもな、言われても受けてたかもしれない。
レールは敷かれていたのだ…。
ってまあどのみちそうなってたと思われる。

フォルテは魔術師協会の人だ。
一応は上の立場らしいが…オレには詳しくは分かんねえ。
研究費のために、冒険者として登録したらしい。

「それで依頼内容だが…」


「…魔法陣に乗ってほしい。何、危険はないぞ。ちゃんと人形で実験したからな」


「それに外傷もなかった。仲間を危険にさらすわけにはいかないのでな」



「そうかいそうかい。よしっ!じゃあ早速乗ってみますか♪」


魔法陣に乗るだけで酒が三本。ものすごく美味しい依頼だと思った。

…そう、魔法陣の『効果』を、浮かれていたオレは一切聞かなかった。
フォルテは知っていたはずだ。これは『転移魔法陣』だと。
恐らくフォルテは…近くに飛ばす予定だったと思いたい。
人形で実験した、と言っていたからな。何度か試したとも思いたい。
フォルテは性格はやや悪めだが、オレらを危険にさらしておくような人物じゃあない。

だから信じたんだ。いや信じてしまったのか?
キャロやラムズなら…どこで酒を入手したんだ?とかどんな効果なんだ?と聞いていたに違いない。

魔法陣に乗った瞬間に…オレは視界が真っ白になった。
そして真っ白な世界からこの島へと来たってわけだ。
砂浜にぽつんと一人で立っていた。

もちろんフォルテの言う通り、外傷はなかった。痛みも特に感じなかった。一瞬にして転移されてしまったのだ。

そういえばフォルテと向き合っていたな。
顔…


にこやかだったな。騙した、と言う顔じゃなかった。

あいつ…けっこうラムズと違って、やることは真っすぐだからな。
いやラムズが曲がっているとかではなくてだな…。
同じタイプでも正反対、ってことだ。だから二人はよく対立はしてた。

事態に気付いたフォルテかあ。

「ま、不味いぞ!ゼイルを孤島に転移してしまった!」


「フォルテ!愛しのゼイルになんてことをしてくれたんですか!」


「お前ってやつは!一週間もふもふ禁止だからな!」


とまぁ、イデアとキャロがくっついたけど、こう言われてるんだろーな。

「オレは大丈夫だぞ~」って言いたいけど届かないだろうな。
まあみんなが元気であることを願おう。
そしたらきっと帰れるさ。

この島で出会った、頼りになる者たちもいるからな。