熱心党第五位グアルティエロの詰
突飛。
おや、突飛ですねえ……突飛。
そおですねえ、自分もうら若き頃には考えたコトがありましてね。
何らかの要員で異能を封じられた指定異能が、被憑者の肉体に留まったまま死亡した場合。
そも、異能封じってえモンが机上だって話はこの際置いときまして。
こおゆう話がありましてねエ、ご存じでしょうか、『Mephistopheles』。悪魔界の大スターです。
諸説あるンですが、この『Mephistopheles』は異能を封じ込まれた状態で被憑者が身を投げたそうで。
……おッとっと止めてくださいねえ人の発言掘り返すの、こおゆう御話は初手の例外ってモンがお株です。
まあ、当時の被憑者にねえ、あったらしいんですね。異能封じ。
大スターは運悪く来訪してしまったとやら。
『Mephistopheles』は行使毎に侵食し遂には人格を取り立てる……
ってトコの非常にオーソドックスな悪魔でして、
当時の被憑者がこれに気付き……自分ごと始末したってのが、知る人ぞ知る筋書きです。
話の肝はココから。
この、被憑者ごと始末された『Mephistopheles』なんですが……
以降は出現もしなきゃ確認もされてないんですねえ、もう、びっくりでしょう。
ゲーテの筋書きばりの奇蹟です。永遠の女による執り成しが行われたかとしか思えません。
つまりってえとですねェ、いずれにせよ、異能封じの憂き目に遇った教皇庁指定異能は滅びます。
このケースだと被憑者の意識はバッチリ残ってたとは思うんですがね、そうじゃなくても、です。
まま、この説話も眉唾だって祓魔師のが大半ですがねえ……夢のある話なのに勿体のないコトで。
指定異能の殲滅は、省も機関も越えた悲願。縋って気分のイイことにゃあ縋っていいでしょうに。
……
などと言いつつね。指定異能……建前を除き、悪魔と呼び続けた彼ら、異なる精神の運動。
これらの起源などまるで解っていませんし、ましてや『教皇庁指定異能』と言えるほどの
ロジックが人々へ編纂されたのは、ここ2世紀程度の浅い浅い歴史未満でしかありません。
ですからこの御話とて、そんなものとして唾棄されているのだと、よおく分かりますよ。
頭の堅い祓魔師や枢機卿の皆々様がたにご納得いただける話じゃあありません。
自分? 自分はロマンチストでねエ……イイでしょう。
なモンで、『Mephistopheles』以来のケースがこの21世紀に訪れやしないか待ち侘びてね、
すっかり待ち惚けて、名誉不名誉なんだか分かったもんじゃない地位に付いてしまいましたよ。
椅子に胡坐掻く性分にゃあ似合いませんが、代わりに耳聡くなるってモンで……
なンです? 『Semiel』居なくなったんでしたっけねえ。
それと、オルテンシア・ジージ……はい、ええ、階梯外指定異能『Oriax』も。
きっちり追跡させていた筈ですし、前者は貴方自身の与りと小耳に存じててね。
アイバノ・ワールワーラ殿?
ご説明をどうぞォ。
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約14体、今や、総ての民は総勢17を上回ろうとして或る。
我が身の保全は遂に五の朝を迎え、打破に佳境を観た。
漂着せしめん大舟に見出されん羅針盤、設計図。
此処迄良好たるを築いた者共を前に、
この皮を繰れば細事なるや。
軈て経緯は、此の皮を花火師と仕立て上げられん。
彼の大舟より掬われた大筒は予てよりの御姿を顕し、
我が所以として触れずには居られず、亦、好機である。
試射と籠められし弾頭は、整備士、および我が手腕にて華啓く。
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「7重、9重、3重々の祝いに、此の渾沌を鉛と清め給え!」
<ウェーバー、およびヨーハン,F.K.『魔弾の射手』第2幕より>
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高みの火に到らば、扨、確実期さんと嘗ての業を模倣す迄。
彼方たちを撃たぬ事が残念でならない。
残念だ。