Eno.109 弓使いの日記

ある日の独白

俺の過去は、そんなに語れるものではない。

騎士の家に生まれ、ぬくぬくと育った。それだけだ。

それだけだから、きっと恵まれているのだろう。

冒険者として旅立つまでは、食うことにすら困らなかった。

……でも、俺は夢物語で語られるような強者になりたかったし、会いたかった。

だから、今はとても幸せなんだよな。

勇者一行の一人。弓手としていられることが。

夢はもう叶っているようなものなんだ。

でも、この島に来たとき。弓がなくて…作ってさえ、傷を与えることがやっとで。

悔しかった。焦りさえした。弓使いが弓をまともに使えなければ何が残るというのか。

だから。

俺は。