5日目-1
さて、そろそろ島の脱出方法も考えておかねばならない時期に差し掛かって来た。
そのために勇者殿も姫殿も、脱出手段の構築のために奔走し始めている。
船長殿も協力的だ。
普段話した事は無いが、ノア殿も縁の下の力持ちとして動き回っている。
我も動くべきところなのだが、稼働範囲を超えれば素体が持たない。
そこは何とも苦々しい所ではある。
苦々しいとは綴ったが、コレは恐らく、素体の心情、あるいは感情に引っ張られての表現なのだろう。
元々、我々怪人に植え込まれる感覚は憤怒と痛覚のみ。
ダメージを受ければ受ける程、その攻撃が激化して行くように作られているのだ。
故に、怪人に感情と言うものは、ほぼ無いに等しい。
そもそも、我には痛覚すら存在しなかったのだ。
これはこの島に来て分かった事だが、脚部装甲に亀裂が入り、生体ユニットがはみ出た事がある。
それでも、我にはダメージを受けたと言う事実を認識するのみだった。
であれば、我の感情の源である憤怒は、何処から持って来るのか。
それは、黒崎からだ。
基本的に我が組織にて言語を操る程の知識を有する個体は、幹部を除けば極端に少ない。
戦闘員は言わずもがな、怪人はと言えば我のような者が例外とも言えるべき状況だ。
何故ならば。
暴力を以て世界征服を企む者達であれば、基本的にその状況を作り出すのも力押しである。
その上で怪人や戦闘員のような疑似生命を際限なく生み出すには、逆に思考力は邪魔になる。
思考力を生み出せば、離反の可能性も与える事になるからだ。
しかし、我のような者を敢えて生み出した幹部は、その保全策を如何にして取ったか。
その答えは、2つ存在する。
まず1つ目。
体内に埋め込まれた遠隔操作式爆弾だ。
離反の可能性を感知した瞬間、我の体内にある爆弾が幹部の手によって起動し、即座に周囲一帯を巻き込む事になる。
黒崎が思い出せない、しかし逆らえないと言ったのは、この事だ。
現在はその感知範囲から逸脱しているため、爆発はせずに済んでいる。
しかし、我の意思が黒崎の意思と統合した瞬間、幹部は躊躇なく起爆させに掛かるだろう。
もう1つ。
それは、実質的な生命稼働時間に冗長を持たせていない事。
要するに、短命に作ってあるのだ。
この身体は戦隊員を用いた試作品的な意味合いがあり、戦闘力は格段に高いものの消耗が激しいと言う特徴を持つ。
その戦闘力を更に高める、逆を言えば寿命を縮めるのが、先程述べた憤怒の感情だ。
黒崎はその身体を改造されるに当たり、痛苦を何度も繰り返しており、その上で一部の記憶を奪われた事で、行き場のない憎悪より来る憤怒で、力を発揮するように設計されているのだ。
しかも、体内の爆弾とその寿命は、厄介な事に通底している。
つまりは、憤怒に任せて暴れ回っていれば、勝手に爆発して周囲に被害をばら撒くと言った、周囲から見れば非常に傍迷惑な設計となっている。
これが、我が知る事実と現実だ。
人によっては、真実と言うのかも知れない。
だが、我はそれを真実とは言わない。
真実とは、その個人の視点を通して、初めて真実として映る。
我自身には、その感情がない故に、事実と現実として認識するだけなのだ。
黒崎よ。
お前は、現実をどう受け止める。
遺された時間は、少ないぞ。
そのために勇者殿も姫殿も、脱出手段の構築のために奔走し始めている。
船長殿も協力的だ。
普段話した事は無いが、ノア殿も縁の下の力持ちとして動き回っている。
我も動くべきところなのだが、稼働範囲を超えれば素体が持たない。
そこは何とも苦々しい所ではある。
苦々しいとは綴ったが、コレは恐らく、素体の心情、あるいは感情に引っ張られての表現なのだろう。
元々、我々怪人に植え込まれる感覚は憤怒と痛覚のみ。
ダメージを受ければ受ける程、その攻撃が激化して行くように作られているのだ。
故に、怪人に感情と言うものは、ほぼ無いに等しい。
そもそも、我には痛覚すら存在しなかったのだ。
これはこの島に来て分かった事だが、脚部装甲に亀裂が入り、生体ユニットがはみ出た事がある。
それでも、我にはダメージを受けたと言う事実を認識するのみだった。
であれば、我の感情の源である憤怒は、何処から持って来るのか。
それは、黒崎からだ。
基本的に我が組織にて言語を操る程の知識を有する個体は、幹部を除けば極端に少ない。
戦闘員は言わずもがな、怪人はと言えば我のような者が例外とも言えるべき状況だ。
何故ならば。
暴力を以て世界征服を企む者達であれば、基本的にその状況を作り出すのも力押しである。
その上で怪人や戦闘員のような疑似生命を際限なく生み出すには、逆に思考力は邪魔になる。
思考力を生み出せば、離反の可能性も与える事になるからだ。
しかし、我のような者を敢えて生み出した幹部は、その保全策を如何にして取ったか。
その答えは、2つ存在する。
まず1つ目。
体内に埋め込まれた遠隔操作式爆弾だ。
離反の可能性を感知した瞬間、我の体内にある爆弾が幹部の手によって起動し、即座に周囲一帯を巻き込む事になる。
黒崎が思い出せない、しかし逆らえないと言ったのは、この事だ。
現在はその感知範囲から逸脱しているため、爆発はせずに済んでいる。
しかし、我の意思が黒崎の意思と統合した瞬間、幹部は躊躇なく起爆させに掛かるだろう。
もう1つ。
それは、実質的な生命稼働時間に冗長を持たせていない事。
要するに、短命に作ってあるのだ。
この身体は戦隊員を用いた試作品的な意味合いがあり、戦闘力は格段に高いものの消耗が激しいと言う特徴を持つ。
その戦闘力を更に高める、逆を言えば寿命を縮めるのが、先程述べた憤怒の感情だ。
黒崎はその身体を改造されるに当たり、痛苦を何度も繰り返しており、その上で一部の記憶を奪われた事で、行き場のない憎悪より来る憤怒で、力を発揮するように設計されているのだ。
しかも、体内の爆弾とその寿命は、厄介な事に通底している。
つまりは、憤怒に任せて暴れ回っていれば、勝手に爆発して周囲に被害をばら撒くと言った、周囲から見れば非常に傍迷惑な設計となっている。
これが、我が知る事実と現実だ。
人によっては、真実と言うのかも知れない。
だが、我はそれを真実とは言わない。
真実とは、その個人の視点を通して、初めて真実として映る。
我自身には、その感情がない故に、事実と現実として認識するだけなのだ。
黒崎よ。
お前は、現実をどう受け止める。
遺された時間は、少ないぞ。