Eno.1072 剣士の日記

『名前』

俺は名など捨てた男だ……ただの剣士と呼ぶがいい。

男は勇者たちと行動を共にする際、そう言った。
男は剣の道のため名も過去も捨てたのだという。

旅は続き、夕暮れには町に入った。
その日は宿を取ることに決まった。

宿に入ると、男が口を開く。

お前たちとともに宿を取る気はない……。
俺のことは放っておけ……。


勇者たちがチェックインを済ませるのを見届けたあと、
男はゆっくりと動き出した。

すみません、勇者パーティのヴェイス・コンコートです。
もうひと部屋、一名追加で。

次の日、勇者たちに請求が届いた。