ささやき 8
小屋に落ちている貝殻を耳に当てると、かすかに呟く声が聞こえる。







「ようやく嵐が行ってくれて、かわりに船が来たねえ」
「乗ってたはずの、ひとの子はいなかったけど」
「トマトやラム酒なんて宝をおいて、みんな海へいっちゃったのかも……」
「ぼく、舟ってすきなんだ。
いっしょにとおくの海までつれていってくれるし、ひとの子がにぎやかにのっているから」
「のせてもらえなくても、木の底にこっそり、ついていくこともできるしね」
「この島のお祭りもすき。
きれいな花火をあげて、それをみながらおいしい貝や、甘い氷を食べるの」
「カレーライスもはじめてたべたよお」
「さいしょは口のなかがびっくりしちゃったけど、すごく……おいしかった!」
「おぼえているお祭り?と、ぜんぜんちがっていたけど、たのしかったな」
「これなら、ひとの子がだれも海にはいらなくてもできるものねえ」
「漂流船の甲板で、とくべつな貝のアイスをたべていたらね、
いろんなことがうれしかったり、かなしかったりして、胸がいっぱいになっちゃった」
「船がきてくれるかどうか、みんな助かるかどうか、先のことはわからないけど……
ぼくは……」