Eno.518 リリルカ・カラコルカの日記

窓辺のヘリテージ

大きなお風呂も、豪華な料理も、献身的な従者も。
故郷には、何もかも・・・・・が揃っている。


何もかも・・・・・が揃っていて、
何もない・・・・・


……このシマには。


大きなお風呂ができた。
皆で少しずつ資材を集めて、生活をより良くしようと苦労して、
そうして遂に、広くてくつろげる立派な岩風呂が完成した。


豪華な料理ができた。
木の実や海藻で細々と食いつないでいたことが、もはや懐かしい。
知恵をふりしぼって、ラーメンや、パンケーキまでが食べられるようになった。


献身的な従者は、……いない。
見方を変えれば、いるのかもしれない。
でも、従者なんかじゃなくて。
少なくとも、監視役・・・なんかでは絶対になくて。


それに、皆は。
私のことを、……友人だと言ってくれた。



あと2日。
救助が来るにしても、来ないにしても。
あの船に気付いてもらえるにしても、そうはならず海に沈むとしても。
……あと、2日。



ああ。


「……かえりたく、……ないな……」