Eno.600 アルノー・シュヴァリエの日記

ワタシより美しい男

数日前、灯台は完成した。
いつか見た港町の灯台をイメージ……否。
あれは、私の愛した親友をイメージしたものだ。アルノー・シュヴァリエの名を授けてくれたあの聖職者、ジャン・シュヴァリエ。

私にとって親友であり、家族であると、あの澄んだ声で言ってくれた彼。
小さな教会で多くの人々を支え、平和を愛した清らかな存在。
清く正しく、真面目で、笑顔が私以上に美しかった――その輝きは、今でも忘れられない。


「………ジャン、あの清廉な輝き、
ワタクシでさえも超える美しさを持った彼。
ただ外見が美しいだけではない、その心の美しさ、真っ直ぐな正しさ。

平和を愛し、決して自らを飾らず、全ての隣人を抱きしめようとしたその姿…

ワタクシがこの世で最も美しいと豪語するが、ジャン、キミだけは違う。
キミは、美しさという言葉では片付けられない存在だった。

今やその姿は消えたが、この場所にはキミの面影が残っている…。

嗚呼、ジャン。


あの純粋な瞳で、今の世界をどう見ただろうか?

キミは微笑んでいただろうか、

ワタクシがこのように立ち止まって、キミを思い出していることさえも。」

彼はこの世の悪意に晒され、手を差し伸べた先で苦痛を受けた。


「それとも、憎んでいるだろうか。

差し伸べた手を、焼き御手で焦がされ、

微笑みを、笑うなと殴られ、

若いから生意気だと、食料を奪われ…。

英雄だと感謝された言葉が、罵倒に変わり、

美しいその姿は磔にされ、拷問されたキミを…。

死んでしまえと…息途絶えさせたあの者たちを。」


…あぁそうだ、私は、こんなところで立ち止まってはいけない。

私の旅の目的は、愛する家族ジャンの敵を討ち、
ジャンを………


そのために、私は世界を駆け巡る――キミの無念を晴らすために。



嗚呼、こんなところに立ち止まらせた海賊どもが憎い。