Eno.1073 府高木 西三の日記

具体的な目標

 嵐が去って、晴れて、夜になって。海賊船だったらしい漂着した船を探索して。
 書き置きやら米やら酒やらの他に、船の設計図ってものが見つかった。
 めっちゃデカい地蔵もとい石像も出来てた。(なんか後光差してた気がする)

 だからか、思考の方向が何となく、生存から脱出に変わったようだ。

 いや、それはいい。いい事だ。間違いない。
 「星の記憶」っていう、資源をドカ食いする何かも作りたい方向になっているが、それは俺も賛成だし。
 それに。

 記憶がほぼ戻った今、「この海から帰る事が出来る」のは、確定といっていい。

 何故なら、そう。ちょうど俺が移動途中で休憩して、高波に襲われた海岸。
 あそこでは、ちょっと前にある騒ぎが起きていた。
 それは、所属不明の船舶がどこからともなく現れ、人を下ろし、そしてどこへともなく消えて行った、というものだ。
 どこの誰のいたずらだ! と、その時はこう、周囲の記憶やら何やらを誤魔化すのに走り回った。

 だが今から考えれば、あれは、この島あるいは海からの「帰還者」だったんじゃないか?

 だってこの島に来た方法は明らかに世界を越えている。
 だったら、元の場所に帰る方法も、世界を越える必要があるよな?

 ……そう考えた結果。
 もし自力で船を作れれば。そしてそれを、最終的にでも自分のものに出来れば。
 それは……世界を自由に渡る手段を手に入れるという事では……?

 が。
 その場合、ちょっとあれこれ大変すぎる事になるから、俺は気付かなかった事にする。
 作りたい奴は作ればいいが、俺はいいや。