Eno.15 トト・アズハル・イルファンの日記

手紙





一度丸められくしゃくしゃになった便箋が挟まれている。

 
 愛しい君へ


 オーラン、僕はこの島でたくさんの事ができるようになったよ。

 君が贈ってくれたこのストールがあったおかげで日中も少しだけ外に出る事ができた。未知の島でフィールドワークを兼ねつつ、工作に使う材料を自分で集めて回ったりしたんだ。倉庫に、コンテナ、それから船まで作ったよ。君はそれを知ったらとても驚いて過剰なまでに褒めてくれるだろうね。肉体労働は嫌いだが、とても達成感があった。
あとは、お針子仕事をよくしていた。簡単なぬいぐるみならすぐに作ってしまえるようになったし、防寒具やレインコート、衣服だってマスターした。ぬいぐるみは花火大会で子供らのために景品としてたくさん用意しようと思っているのだ。国に帰ったら、君のためになにか一つ繕ってあげるというのもいいかもしれないね。まあ最も、僕にはアイツほどのセンスがあるわけではないから、あまり期待はしないで欲しいのだがね。

 それからね、僕はたくさんのことを学んだんだよ。これはきっと君の力にもなるはずだ。極限状態でのサバイバルで得た知識と技術はきっとこの国をより良くするヒントが隠されているに違いない。貧困層の暮らしをきっと今よりも少しだけでも良くできるかもしれない!君は幸運だよ、僕という賢い人間がすぐそばにいるのだからね。僕の王は君だけだから、僕はこの誇り高き知性を君のためだけに使いたい。君の名が、未来永劫、名君であったとして遺るようにしたいのだ。そうすれば、どんな時代になっても君の名を民から聞く事ができるし、僕はきっと寂しくないであろう。
 まあ、君はとても優れた王であるから、僕がいなくともきっとそのようになるだろうがね。君の遺した栄光のそばには僕の名も共に遺しておきたいのだ。

 あとは何を書こう、どうせ国に帰ったら君とたくさんのことを話すと言うのに。話したい事がたくさんあるのだ、伝えたいことも山のようにあるのだ。君は僕の漂流譚をきっと、楽しそうに目を細めて、その腕に抱きながらどれだけ掛かろうとも全てに耳を傾けてくれるのだろうね。今は君の体温がとても恋しい。君に触れられるととても安心するんだ、早く君に抱きしめてほしい。

オーラン、僕は早く君の声が聞きたいよ。君もきっとそう思ってくれているだろう。
もしも、僕のことを諦めて浮気をするような事があれば、僕はもう一度どこかへ旅に出てしまうからね。肝に銘じておきたまえよ。


君だけのトトより