未知の記録
・α ナイフ
"天の使いが一人、空から舞い降りた。
天の使いは何もない一面の陸に水を与えた。
天が与えた水は、恵みと共に力を与えた。
恵みが生命を生み、力が文明を興した。
それが、この世界の始まり。"
・β 斧
"できたできた!海のミネラルで育つ画期的な植物が!
これをあのへんに植えたらき~っと豊かな島になるんじゃないかな!
せっかくだからパンが実るようにしてみたよ!ベーカリー島だ~!
……え?砂利の上で育つのって?あ~たしかに……"
・γ 焚き火
"……何してるのかって?
知らねーの?長靴ってうまいんだよ。魔術火じゃダメだぜ。焚き火で焼くんだ。
あの歯ごたえがたまんねえんだよな~!"
・δ 解体台
"この辺じゃシーグラスっていうのも有名よ。
あれ、海の魔力が結晶化したものなんだとかって一時期言われてて。
ちょっとオカルトだけど、でもなんか唆られるわね……"
・ε 窯
"我々の力は海の力。
海が力を分けてくれているのだ。
己が意志が力を呼べたとて、その古則が揺らぐことはない。
それをゆめゆめ忘れるでないぞ……"
・ζ 粉末ヒトデ
"あらゆる技術を費やし、
あらゆる資材を投じ
あらゆる努力を惜しまなかった。
しかし、それでもあの揺蕩う『星』だけは食べられなかったのだ。"
・η 煮込み
"実験記録00125、エラ器官を備えた生物の塩基配列の作製。
生まれた個体の生命維持および同種の生殖にて特徴の引き継ぎに成功。
これを海域X-11の諸島に放逐し様子を見ることにする……"
・θ 氷室
"知ってる?海上は嵐が激しくなりやすいんだって。
なんか温かい空気が海で冷やされてなんとかって……
だからこの辺も建物の嵐対策がちゃんとしてるでしょ?
そーゆーのを生きるための知恵って言うんだよね~"
・ι 筆記具
"できたできた!これね、土壌の成分から合成樹脂を生み出す革新的な植物!
これをたくさん植えたら資源問題も解決間違いなしだよね!
せっかくだから光合成もできるようにしたんだ~!
……樹脂の出る木を植えればいいのにって?あ~たしかに……"
・κ 花火
"この前きた人が海を割るぞ~!って海を割ってたんだけど、
なんかでっかい宮殿みたいなのが海の底から出てきてびっくりしちゃった。
海を割るだけですごいのに、なんか色々渋滞しててウケる!"
・λ メガホン
"うう……まさか上に目をつけられてこんな味気ない四角い植物を作らされるハメになるなんて……
本当はもっと色んな食べ物が生える木を作りたかったのに……
せめて、最後に大好きなお菓子のなる木を作れたら……"
・μ 弓
"海の力は生物にも、植物にも影響を与えているようだ。
それは何も塩害に強い植物がどう、なんて話ではない。
我々が海の力を操るように、海の力そのものを宿す動植物もまた存在するということだ。
力を宿したモノが如何なる力を持つか。
ある意味ではその対象の心を知れるとも言えるかもしれないな。"
・ν キノコ
"実験記録00078、卵生生物の排卵増加個体の生成実験。
実験は成功したが、無精卵が時間の経過と共に有精卵になる異常を発見。
何らかの遺伝子異常で単為生殖が可能になったか?
幼体を育て、経過観察とする……"
・ξ 水、お湯、氷
"今日も狭い島国の街で研究を行う。
かつて在ったと言われる文明の遺物を読み解き、この地の根源を探る。
この広大な海も、陸の資源に乏しいこの土地も。
この地の歴史を紐解けば、きっと見れると信じている。"
・ο フライパン
"海は恵みをもたらすと共に、奇跡にも近い力を我々に与えた。
海水の魔素を結晶へと昇華し、それに意思を込めて起動する。
込められた意思に依って万様に変わる奇跡の数々。
魔なる海の力の技術を我々は『魔術』と呼び、奇跡を人の御せる形へと下ろした。
そうしてこの国は栄えてきた。
この力は強大で、そして尊いものだ。決して軽んじてはならない。"
・π ドラム缶
"王室が魔術を用いて得体の知れない術を生み出したらしい。
『世界の外』から叡智を呼び込む魔術だそうだ。
科学者、魔術師、巫女、知恵者……
異界の知恵者が王室から出てきたのを覚えている。
うちの工房にも考古学者を当てようかと伺われたが、丁重にお断りした。"
・ρ モルタル
"国内のとある街が魔術兵器によって焼け落ちたらしい。
聞けば術師と科学者が袂を分けて戦争になったとか。
愚かな話だ。ただでさえ狭い土地だというのに……
……轟音で研究に集中できない。
家内に話を通し、地下に工房を作製するとしよう。
しばらく忙しくなりそうだ……"
・σ 岩風呂
"戦火の炎と焼け落ちた家屋が目に映る。
地下の工房にいる合間に、魔術の砲火が地上を薙いだらしい。
突然の出来事で避難の余裕もなかったそうだ。
そんな中、行き場のない感情が研究中の術式にアイデアをもたらしてくれた。
もはや縋るものもないオレにできることは、ただひとつ。"
・τ 石臼
"様々な研究資料を持ち出して、引っ越しを終えた。
いつの日かも分からない研究レポート。
誰が録ったのかも分からない音声記録。
部屋にあった資料、知人伝いで得た資料。
そして――王家に伝わる『世界の外』へ干渉する術式の一部を盗んだ。
できることはした。後は実行するだけだ。"
・υ 落とす
"術式の完成を急ぐ。
あとはこの術式さえ完成すればではあるが、もはや研究を継続するのも一苦労だ。
体の傷が痛む。
だが、戦火が与えた痛みはこの比にはならないはずだ。
最後のピースをはめて、オレはしばしの休息をとる。"
・φ 卵
"この地はやがて海へ沈むだろう。遠い未来に訪れた者達は、この寂しい海に何を思うだろう。
……せめてもの賑やかしに、術式の中にお遊びを仕掛けておいた。
所詮はハリボテには過ぎないが……"
・χ 洗面台
"……この海にもう未練はないが。
それでも、未来のことを考えてしまう。
閉じた海を選ぶか、開いた海を選ぶか。
この世界をずっと見てきた海の選択に思いを馳せる。
ただ、誰もいなくなった遠い未来であっても、
穏やかなこの海は広がり、静かに波音を立てているのだろう。"
・ψ ゼラチン
"術式を起動し、世界との隔壁を壊した。
亀裂が水平線を走り、海のかさが目に見えて増えていく。
実験は成功した。
これで全ての因果は終わる。
かつての遺産に縋って権威を争う、醜悪な人間どもの文明が。
海に埋もれて終わったはずのこの世界は、異なる海と繋がり、再び終わりを迎えるだろう。
これでいい。オレの役目は果たした。
海開きだ。"
・ω 強化銛
"天の使いが与えた恵みで暮らす民。
しかし、民はより大きな力を欲してしまった。
大いなる力を求める民に、天使は大いなる恵みを与える。
かつてのように、水という形で。
それが、この世界の終わり。"
我ら記憶者の名に於いて、喪われた文明の断片を是に記す。
技術に貴賤無く、唯生命の業のみが在りて汝が身を蝕む。
故にこの滅亡を記憶へと刻み、文明の存続、その糧足らんと望む。
"天の使いが一人、空から舞い降りた。
天の使いは何もない一面の陸に水を与えた。
天が与えた水は、恵みと共に力を与えた。
恵みが生命を生み、力が文明を興した。
それが、この世界の始まり。"
・β 斧
"できたできた!海のミネラルで育つ画期的な植物が!
これをあのへんに植えたらき~っと豊かな島になるんじゃないかな!
せっかくだからパンが実るようにしてみたよ!ベーカリー島だ~!
……え?砂利の上で育つのって?あ~たしかに……"
・γ 焚き火
"……何してるのかって?
知らねーの?長靴ってうまいんだよ。魔術火じゃダメだぜ。焚き火で焼くんだ。
あの歯ごたえがたまんねえんだよな~!"
・δ 解体台
"この辺じゃシーグラスっていうのも有名よ。
あれ、海の魔力が結晶化したものなんだとかって一時期言われてて。
ちょっとオカルトだけど、でもなんか唆られるわね……"
・ε 窯
"我々の力は海の力。
海が力を分けてくれているのだ。
己が意志が力を呼べたとて、その古則が揺らぐことはない。
それをゆめゆめ忘れるでないぞ……"
・ζ 粉末ヒトデ
"あらゆる技術を費やし、
あらゆる資材を投じ
あらゆる努力を惜しまなかった。
しかし、それでもあの揺蕩う『星』だけは食べられなかったのだ。"
・η 煮込み
"実験記録00125、エラ器官を備えた生物の塩基配列の作製。
生まれた個体の生命維持および同種の生殖にて特徴の引き継ぎに成功。
これを海域X-11の諸島に放逐し様子を見ることにする……"
・θ 氷室
"知ってる?海上は嵐が激しくなりやすいんだって。
なんか温かい空気が海で冷やされてなんとかって……
だからこの辺も建物の嵐対策がちゃんとしてるでしょ?
そーゆーのを生きるための知恵って言うんだよね~"
・ι 筆記具
"できたできた!これね、土壌の成分から合成樹脂を生み出す革新的な植物!
これをたくさん植えたら資源問題も解決間違いなしだよね!
せっかくだから光合成もできるようにしたんだ~!
……樹脂の出る木を植えればいいのにって?あ~たしかに……"
・κ 花火
"この前きた人が海を割るぞ~!って海を割ってたんだけど、
なんかでっかい宮殿みたいなのが海の底から出てきてびっくりしちゃった。
海を割るだけですごいのに、なんか色々渋滞しててウケる!"
・λ メガホン
"うう……まさか上に目をつけられてこんな味気ない四角い植物を作らされるハメになるなんて……
本当はもっと色んな食べ物が生える木を作りたかったのに……
せめて、最後に大好きなお菓子のなる木を作れたら……"
・μ 弓
"海の力は生物にも、植物にも影響を与えているようだ。
それは何も塩害に強い植物がどう、なんて話ではない。
我々が海の力を操るように、海の力そのものを宿す動植物もまた存在するということだ。
力を宿したモノが如何なる力を持つか。
ある意味ではその対象の心を知れるとも言えるかもしれないな。"
・ν キノコ
"実験記録00078、卵生生物の排卵増加個体の生成実験。
実験は成功したが、無精卵が時間の経過と共に有精卵になる異常を発見。
何らかの遺伝子異常で単為生殖が可能になったか?
幼体を育て、経過観察とする……"
・ξ 水、お湯、氷
"今日も狭い島国の街で研究を行う。
かつて在ったと言われる文明の遺物を読み解き、この地の根源を探る。
この広大な海も、陸の資源に乏しいこの土地も。
この地の歴史を紐解けば、きっと見れると信じている。"
・ο フライパン
"海は恵みをもたらすと共に、奇跡にも近い力を我々に与えた。
海水の魔素を結晶へと昇華し、それに意思を込めて起動する。
込められた意思に依って万様に変わる奇跡の数々。
魔なる海の力の技術を我々は『魔術』と呼び、奇跡を人の御せる形へと下ろした。
そうしてこの国は栄えてきた。
この力は強大で、そして尊いものだ。決して軽んじてはならない。"
・π ドラム缶
"王室が魔術を用いて得体の知れない術を生み出したらしい。
『世界の外』から叡智を呼び込む魔術だそうだ。
科学者、魔術師、巫女、知恵者……
異界の知恵者が王室から出てきたのを覚えている。
うちの工房にも考古学者を当てようかと伺われたが、丁重にお断りした。"
・ρ モルタル
"国内のとある街が魔術兵器によって焼け落ちたらしい。
聞けば術師と科学者が袂を分けて戦争になったとか。
愚かな話だ。ただでさえ狭い土地だというのに……
……轟音で研究に集中できない。
家内に話を通し、地下に工房を作製するとしよう。
しばらく忙しくなりそうだ……"
・σ 岩風呂
"戦火の炎と焼け落ちた家屋が目に映る。
地下の工房にいる合間に、魔術の砲火が地上を薙いだらしい。
突然の出来事で避難の余裕もなかったそうだ。
そんな中、行き場のない感情が研究中の術式にアイデアをもたらしてくれた。
もはや縋るものもないオレにできることは、ただひとつ。"
・τ 石臼
"様々な研究資料を持ち出して、引っ越しを終えた。
いつの日かも分からない研究レポート。
誰が録ったのかも分からない音声記録。
部屋にあった資料、知人伝いで得た資料。
そして――王家に伝わる『世界の外』へ干渉する術式の一部を盗んだ。
できることはした。後は実行するだけだ。"
・υ 落とす
"術式の完成を急ぐ。
あとはこの術式さえ完成すればではあるが、もはや研究を継続するのも一苦労だ。
体の傷が痛む。
だが、戦火が与えた痛みはこの比にはならないはずだ。
最後のピースをはめて、オレはしばしの休息をとる。"
・φ 卵
"この地はやがて海へ沈むだろう。遠い未来に訪れた者達は、この寂しい海に何を思うだろう。
……せめてもの賑やかしに、術式の中にお遊びを仕掛けておいた。
所詮はハリボテには過ぎないが……"
・χ 洗面台
"……この海にもう未練はないが。
それでも、未来のことを考えてしまう。
閉じた海を選ぶか、開いた海を選ぶか。
この世界をずっと見てきた海の選択に思いを馳せる。
ただ、誰もいなくなった遠い未来であっても、
穏やかなこの海は広がり、静かに波音を立てているのだろう。"
・ψ ゼラチン
"術式を起動し、世界との隔壁を壊した。
亀裂が水平線を走り、海のかさが目に見えて増えていく。
実験は成功した。
これで全ての因果は終わる。
かつての遺産に縋って権威を争う、醜悪な人間どもの文明が。
海に埋もれて終わったはずのこの世界は、異なる海と繋がり、再び終わりを迎えるだろう。
これでいい。オレの役目は果たした。
海開きだ。"
・ω 強化銛
"天の使いが与えた恵みで暮らす民。
しかし、民はより大きな力を欲してしまった。
大いなる力を求める民に、天使は大いなる恵みを与える。
かつてのように、水という形で。
それが、この世界の終わり。"
我ら記憶者の名に於いて、喪われた文明の断片を是に記す。
技術に貴賤無く、唯生命の業のみが在りて汝が身を蝕む。
故にこの滅亡を記憶へと刻み、文明の存続、その糧足らんと望む。