支配
あれから随分と旅をした。
今やエゾデスの大部分は、魔王領である。
勿論人間も暮らしているのだが、あまりいい扱いをされているとは言えないのが散見された。
魔族は強い力を持つ。
だいたいは、普通の人間では太刀打ちできない。
多くの魔物を倒した。
沢山の依頼をこなした。
修練所のみならず兵舎に潜り込んで修練に励んだ。
行き詰まることもあったし、
失敗だって少なくはなかったが、
一人なら気楽だったし、何より着実に強くなっている実感を
自分自身で感じられるのが心地よかった。
もっと俺は強くなれる。
そう思って、気づけば魔王軍の門戸を叩いていた。
実力さえあれば歓迎する、という気風は嫌いじゃなかったし、
多数を支配する側に立てば、この槍にもより一層磨きがかかるだろう。
魔族が多くを占める軍の中で、エルフは珍しかっただろうが。
種族で指摘されるのも目を付けられるのもゴメンだったのでこの頃は鎧兜を身に着けていた。
配属されたのは北も北の辺鄙な土地だった。
聞けばもう百年ちかく吸血鬼が治めているとか。
不死というものは魔族の中でも特殊な種族だ。
なにせもとは人間だった奴が多いのだ。
大抵のやつは、血も、涙もない。
生者から生気を奪い、自らの糧とする。
俺は吸血鬼が支配する領地の村の一つで、懐かしい顔を見つけた。









叔父貴には悪いが、後から知ったチ・ナイの領主は少年ではなく青年だった。
俺は前線の戦士だったから、所属している当時は終ぞまともに話すこともなかったが。

一目見た、俺と大して年恰好は変わらないであろう気品ある姿と
憂いを帯びた表情に反して燃えるような色の目は、なぜだか印象に残った。
今やエゾデスの大部分は、魔王領である。
勿論人間も暮らしているのだが、あまりいい扱いをされているとは言えないのが散見された。
魔族は強い力を持つ。
だいたいは、普通の人間では太刀打ちできない。
多くの魔物を倒した。
沢山の依頼をこなした。
修練所のみならず兵舎に潜り込んで修練に励んだ。
行き詰まることもあったし、
失敗だって少なくはなかったが、
一人なら気楽だったし、何より着実に強くなっている実感を
自分自身で感じられるのが心地よかった。
もっと俺は強くなれる。
そう思って、気づけば魔王軍の門戸を叩いていた。
実力さえあれば歓迎する、という気風は嫌いじゃなかったし、
多数を支配する側に立てば、この槍にもより一層磨きがかかるだろう。
魔族が多くを占める軍の中で、エルフは珍しかっただろうが。
種族で指摘されるのも目を付けられるのもゴメンだったのでこの頃は鎧兜を身に着けていた。
配属されたのは北も北の辺鄙な土地だった。
聞けばもう百年ちかく吸血鬼が治めているとか。
不死というものは魔族の中でも特殊な種族だ。
なにせもとは人間だった奴が多いのだ。
大抵のやつは、血も、涙もない。
生者から生気を奪い、自らの糧とする。
俺は吸血鬼が支配する領地の村の一つで、懐かしい顔を見つけた。

「あんた……まさか叔父貴かッ!?」

「ああ、おじどちら様!?」

「俺だ、アッケシーのイーサン」

「なんと、大きくなったな……大きくなり過ぎだ……時は残酷すぎる、許"さ"ん"」

「そんなこと言われても それより叔父貴は無事か?天井から吊るされて泣き喚こうものなら血を抜かれてワインにされてないか?」

「お前の想像どうなっているのだ 見ての通り元気に棒を押して回す装置を回している」

「早く異議申し立てろ」

「絶世の美少年吸血鬼の餌になれると思えば本望 永遠のショタ最高」

「親戚やめようかな」
叔父貴には悪いが、後から知ったチ・ナイの領主は少年ではなく青年だった。
俺は前線の戦士だったから、所属している当時は終ぞまともに話すこともなかったが。

血の四天王
強大な魔力を有する不死の君主
引きこもりだと思って油断すると痛い目に合う
一目見た、俺と大して年恰好は変わらないであろう気品ある姿と
憂いを帯びた表情に反して燃えるような色の目は、なぜだか印象に残った。