トトの手記18
花火大会では屋台を設けてそれぞれが何かを出店する、との事である。
我が国にはない文化ゆえに、こういったことは体験したことが無い、とりあえず僕はご教示いただいたくじ引きの案をそのまま使わせてもらおう。
僕はくじ引きの景品作りに勤しむことにした。島中を歩き回って見つけた布切れを継ぎ合わせてちくちく、ちくちくと組み立て、そして中に羽毛を詰め込んでやれば簡単なぬいぐるみの完成である。この島に来てから何度か作ったが、僕は優れた才能を持っているようだ。どれも出来は完璧であろう。淡い赤色のカニと黄色いアヒルのおもちゃのようなぬいぐるみ、それから……何ともふてぶてしい顔の黄金色の猫。
青い瞳にしてしまったのがよくなかった、これではなんだかセトに見えてくる。僕としては、こんなセトにそっくりなぬいぐるみをくじで引き当てても……という思いがあったのでしまい込もうとすると、隣にいた少年が興味を示していたので欲しいかと尋ねてみた。僕の提案に少年はこれはずるいのでは?と少し悩んだあと、欲しいと素直な声を返してくれた。
思えばこの少年には、散々世話になったし迷惑と心配をかけてしまったから、これで喜んでくれるならば万々歳である。以前の約束はまだ果たせそうにはないが、少年が楽しい、嬉しいと思うことをしてやりたい。少年が嬉しそうに小さなセトのようなそれをカバンにしまうのを見て、なんだかとても微笑ましい気持ちになった。
そうだ、忘れていた。少年は折り紙なる日本国の伝統工作を見せてくれたのだ。手裏剣?というらしい、折った紙を組み合わせとても丁寧に作られており感心させられる。少年はそんな作品を残念賞と言っていたが、そのように評価するのは間違っている。くじのはずれならば、このトトが適当に見繕ってやろう。あれこれと使い道のないものが倉庫の中に転がっているのだからな。これは素晴らしい作品であり景品にふさわしいと伝えると、少年は照れたように笑い、のちに他の作品も見せてくれるようである。何とも楽しみだ。
そういえば、シシとオルテンシアの二名が、僕が以前セトに御守りとして渡した石について何か言っていた覚えがある。興味本位でこっそりと解読したあの石碑に関わること、のようだが……この謎は謎のままであった方が僕はロマンを感じる。まあ、皆、造船のためにやりたいことを我慢していた節もあるであろう。好きに騒ぐといいと言った手前、僕はそれを見守ることにする。今のうちに後悔なき行動をとるべきであるし、未知を解き明かしたいという気持ちは痛いほどよくわかる。
それにどうせこの島も沈んでしまうのだからね。
ーー追記ーー
この島の住民は悪ふざけが好きであるから、名前で遊ぶのにも飽きがきたのか見事な技巧を凝らした煙草を模った石像を建造していた。未だ実物の煙草にありつけていない彼女であるが、橋づくりをはじめとした功績を鑑みると、彼女に非常にふさわしいものであろう。当の本人は少し遠い目をしていたような気もするが。彼女の頑張りを周囲が称えているのである、きっと。まあ、半分くらいお遊びであろうが、シシという男は真面目にそう思いあの石像を建てたのでは?と考えてしまう。
それから花火大会が無事に終えることができ、それがとても"いいもの"であればこの文化を我が国へ持ち帰るのもいいだろう。
貴族共は日々私腹を肥やし続けているが、見栄を張ることも大好きな無能であるから、「こんな素晴らしい体験をしたが、君たちではそんなことは出来ないだろう?」などと適当に焚きつけてやれば競うように開催するようになるのではないか。
あの鬱陶しい花火も豪勢な食事と共に国民へ提供されれば、今とはまた違った印象になるであろうしな。炎は我々にとって大切なものなのだから、無能な貴族の道楽で終わらすにはもったいない。
このあたりは国へ戻ってから深く考える必要があるな。
我が国にはない文化ゆえに、こういったことは体験したことが無い、とりあえず僕はご教示いただいたくじ引きの案をそのまま使わせてもらおう。
僕はくじ引きの景品作りに勤しむことにした。島中を歩き回って見つけた布切れを継ぎ合わせてちくちく、ちくちくと組み立て、そして中に羽毛を詰め込んでやれば簡単なぬいぐるみの完成である。この島に来てから何度か作ったが、僕は優れた才能を持っているようだ。どれも出来は完璧であろう。淡い赤色のカニと黄色いアヒルのおもちゃのようなぬいぐるみ、それから……何ともふてぶてしい顔の黄金色の猫。
青い瞳にしてしまったのがよくなかった、これではなんだかセトに見えてくる。僕としては、こんなセトにそっくりなぬいぐるみをくじで引き当てても……という思いがあったのでしまい込もうとすると、隣にいた少年が興味を示していたので欲しいかと尋ねてみた。僕の提案に少年はこれはずるいのでは?と少し悩んだあと、欲しいと素直な声を返してくれた。
思えばこの少年には、散々世話になったし迷惑と心配をかけてしまったから、これで喜んでくれるならば万々歳である。以前の約束はまだ果たせそうにはないが、少年が楽しい、嬉しいと思うことをしてやりたい。少年が嬉しそうに小さなセトのようなそれをカバンにしまうのを見て、なんだかとても微笑ましい気持ちになった。
そうだ、忘れていた。少年は折り紙なる日本国の伝統工作を見せてくれたのだ。手裏剣?というらしい、折った紙を組み合わせとても丁寧に作られており感心させられる。少年はそんな作品を残念賞と言っていたが、そのように評価するのは間違っている。くじのはずれならば、このトトが適当に見繕ってやろう。あれこれと使い道のないものが倉庫の中に転がっているのだからな。これは素晴らしい作品であり景品にふさわしいと伝えると、少年は照れたように笑い、のちに他の作品も見せてくれるようである。何とも楽しみだ。
そういえば、シシとオルテンシアの二名が、僕が以前セトに御守りとして渡した石について何か言っていた覚えがある。興味本位でこっそりと解読したあの石碑に関わること、のようだが……この謎は謎のままであった方が僕はロマンを感じる。まあ、皆、造船のためにやりたいことを我慢していた節もあるであろう。好きに騒ぐといいと言った手前、僕はそれを見守ることにする。今のうちに後悔なき行動をとるべきであるし、未知を解き明かしたいという気持ちは痛いほどよくわかる。
それにどうせこの島も沈んでしまうのだからね。
ーー追記ーー
この島の住民は悪ふざけが好きであるから、名前で遊ぶのにも飽きがきたのか見事な技巧を凝らした煙草を模った石像を建造していた。未だ実物の煙草にありつけていない彼女であるが、橋づくりをはじめとした功績を鑑みると、彼女に非常にふさわしいものであろう。当の本人は少し遠い目をしていたような気もするが。彼女の頑張りを周囲が称えているのである、きっと。まあ、半分くらいお遊びであろうが、シシという男は真面目にそう思いあの石像を建てたのでは?と考えてしまう。
それから花火大会が無事に終えることができ、それがとても"いいもの"であればこの文化を我が国へ持ち帰るのもいいだろう。
貴族共は日々私腹を肥やし続けているが、見栄を張ることも大好きな無能であるから、「こんな素晴らしい体験をしたが、君たちではそんなことは出来ないだろう?」などと適当に焚きつけてやれば競うように開催するようになるのではないか。
あの鬱陶しい花火も豪勢な食事と共に国民へ提供されれば、今とはまた違った印象になるであろうしな。炎は我々にとって大切なものなのだから、無能な貴族の道楽で終わらすにはもったいない。
このあたりは国へ戻ってから深く考える必要があるな。