Eno.378 白波の眷属の日記

ささやき 9

小屋に落ちている貝殻を耳に当てると、かすかに呟く声が聞こえる。

「きれいな船が完成して、よかったよお……」
「島がしずんでしまっても、助けがこなくても、船にのれば生きのびられるもの」



「ひとの子も、そうじゃない子も、元気にいきてほしいな。
 もしものときの船旅セットも、みんなの分をつくれたらいいよねえ」



「旅をしてる子は、旅をつづけられるし。
 ニホン?とか、すんでいた地にもどれる子は、うれしいよね」



「あとはねえ、」



「ぼくが、もっと記憶がたくさんあって。
 安心してくらせる場所をもっていたらな……」



「どこに行ったらいいかわかんない子に、ここに帰ってきたらいいよって言えたらいいのに」