Eno.386 或る虚伝より生まれ抗うモノの日記

No,27_嘗て、垣間見た其れは

"その海は数多の術者が挑み、そして敗れた海だ。
土地はなく、ただ広大な海だけが広がる、乏しく虚しい世界。
それを変えんと有力者が集い、そして皆等しく匙を投げた。

神秘、魔法、科学、奇跡……
遍く術の混ざりあったその海は、いつからか自我に近しいものを得ていた。

やがて、とある術者が世界の境界を開いた。
隔絶された世界の境界がこじ開けられたことで、その世界は瞬く間に歪んでいった。
術者の成果を蓄えた膨大な海は、その境界を我が物としたのだ。

他世界の海を取り込み、資源を溜め込んでは海を吐き出し、再び取り込む。
海は、いつからか貪欲なる海と化していた。

そして長い年月を経て。
かの海は多くの資源を蓄え、そして誰かに奪われる日々。

そんな『魔の海』は、今日も晴天の元に佇んでいる。"




――前回、ナガサレたシマで作られ、開放された"星の記憶"。

其の煌めきと同時に、脳裏に響いた"声"は、上記の通りだった。



そして、今回見つかった遺跡と、未知の記録の数々。

あれ等は――嘗て聞いた"声"、其の内容を裏付けるような、"真相"と呼べるものなのだろう。



つまり。

此の<絶海領域ジーランティス>の、他世界との"境界"は――業に堕ちた"レムリア"を沈め終わらせる為に、無理矢理に壊された。

そして――碑文を残した者が、其の張本人であったのだろう。

でなければ、あんな文章にはならない、筈、だろうから。



無理矢理に破壊さ抉じ開けられた"境界"を閉じる術は、現時点で存在し得ず。

其れ故、調査隊や救助隊が定期巡回する事で、海続き故の"神隠し"を探し、見付け、保護し、帰す。




以上が、此の<世界ジーランティス>の、現時点での全貌――なんだろう、恐らく。