誰かの記憶4
不死者へと堕ち、生まれ育った村にいられなくなって
独り、行く宛もなく放浪した
そんな日々に途方に暮れていたあの日
差し伸べられた暖かな手を取って、魔王の傘下へと下った
そうしていくらか経った頃、北の辺境の領地を下賜され
食事のため、ということもあり、人間の村を支配下に置いた




支配下の人間共には苦役を敷き――


僅かばかりの食事を与え――


反乱を起こされても面倒なので、一応陳述も聞いた――









不死者とは、生者の理から外れた存在
ただの魔族とも違う
我々の魂は、死した肉体に縛り付けられたまま、終わりのない時を過ごす
――彼らに何を話しても、何をしても、たった数十年で死ぬのだ
生きる世界も時間も全く違う
変わってしまったのだという事実を思い知らされる
それから、どれほどの月日が経ったかは忘れてしまったが
諦念を覚えるには十分な時間だった
独り、行く宛もなく放浪した
そんな日々に途方に暮れていたあの日
差し伸べられた暖かな手を取って、魔王の傘下へと下った
そうしていくらか経った頃、北の辺境の領地を下賜され
食事のため、ということもあり、人間の村を支配下に置いた

眷属「主サマ!奴隷には労働をさせルのが定番らしいでス!
何をさせマスか?!」

「え、知らん 棒でも回させておく?」

眷属「わかりまシた!」

「(いいのかなこういうので……)」
支配下の人間共には苦役を敷き――

「ガリガリの人間の血とか飲みたくないし……実勤8時間で」

眷属「ハイ!」
僅かばかりの食事を与え――

「人間と食べ物被らないし 好きに食べたらよくないかね?」

眷属「ハイ!」
反乱を起こされても面倒なので、一応陳述も聞いた――

「献立のリクエスト?はいはい、やれたらやるからね」

領民「それやらないやつじゃないですか?」

「そうは言ってもね、ミリア
その年の収穫にもよるのだから……」

領民「 」

領民「領主様 ミリアは私の祖母で」

領民「もう」

「――、」

「あ、そう 陳述については考えておく もう行っていいよ」

領民「はい」
不死者とは、生者の理から外れた存在
ただの魔族とも違う
我々の魂は、死した肉体に縛り付けられたまま、終わりのない時を過ごす
――彼らに何を話しても、何をしても、たった数十年で死ぬのだ
生きる世界も時間も全く違う
変わってしまったのだという事実を思い知らされる
それから、どれほどの月日が経ったかは忘れてしまったが
諦念を覚えるには十分な時間だった