Eno.459 血の四天王の日記

誰かの記憶4

不死者へと堕ち、生まれ育った村にいられなくなって
独り、行く宛もなく放浪した
そんな日々に途方に暮れていたあの日
差し伸べられた暖かな手を取って、魔王の傘下へと下った

そうしていくらか経った頃、北の辺境の領地を下賜され
食事のため、ということもあり、人間の村を支配下に置いた



眷属「主サマ!奴隷には労働をさせルのが定番らしいでス!
何をさせマスか?!」


「え、知らん 棒でも回させておく?」


眷属「わかりまシた!」


「(いいのかなこういうので……)」



 支配下の人間共には苦役を敷き――

「ガリガリの人間の血とか飲みたくないし……実勤8時間で」


眷属「ハイ!」



 僅かばかりの食事を与え――

「人間と食べ物被らないし 好きに食べたらよくないかね?」


眷属「ハイ!」



 反乱を起こされても面倒なので、一応陳述も聞いた――

「献立のリクエスト?はいはい、やれたらやるからね」


領民「それやらないやつじゃないですか?」


「そうは言ってもね、ミリア
その年の収穫にもよるのだから……」


領民「  」


領民「領主様 ミリアは私の祖母で」


領民「もう」


「――、」


「あ、そう 陳述については考えておく もう行っていいよ」


領民「はい」




不死者とは、生者の理から外れた存在
ただの魔族とも違う
我々の魂は、死した肉体に縛り付けられたまま、終わりのない時を過ごす

――彼ら人間に何を話しても、何をしても、たった数十年で死ぬのだ
生きる世界も時間も全く違う
変わってしまったのだという事実を思い知らされる

それから、どれほどの月日が経ったかは忘れてしまったが
諦念を覚えるには十分な時間だった