Eno.91 シィリヤーレルの日記

【8 逃げる覚悟】

 
 民を捨てて、逃げても良いよね?
 ブレイバーとセツカと相談して、
 僕は覚悟を決めたんだ。

 逃げることもまた“正しい”ことなれば。
 あんな民たちなんて、
 僕が必死になって守る必要もないだろう?

 強く賢く聡く在れ。
 立派な王にならなければ。
 お父様みたいになりたかった。
 使命感と妄執が、僕を縛っていたの。

(本当は、解き放たれたかったんだ)


 あぁようやく、その道を選べたね。

 セツカは、連れ去っても良いよと言ってくれた。
 あぁだけど、自由になったら僕は、
 あの世界の南の国も見てみたいんだよ。

 南の地方には楽園があると思ってる。
 極北みたいに、限られた資源を
 激しく奪い合って殺し合うみたいなことは、
 きっとないって信じてる。

 決して善ではない僕だけど、空っぽな僕だけど。
 逃げる覚悟を決めたら、望み、ぷかり。

「──さようなら、僕の民たち」


「──凍れる貧しい大地で、
 永遠に苦しんでいるが良いさ」


 これは、呪いだ。
 お前たちなんて、大っ嫌いだ!!!!!