闘鴨の書:十五の巻
陽が落ちたかと思えば、みるみるうちに気温が下がっていく。
……この島は嵐が多く、気温差も激しい。ほとんど異常気象だ。
これも、あるいはこの島の内包するアヒルエネルギーの力なのかもしれん…
*
焚火で身体を温めているさなか、兄のことを思い出していた。
思い出す、という言い方も少し違うかもしれない。忘れることなど無いからだ。
この島で見られた伝説の数々――アヒル像に呼ばれたアヒルバトラー達――
これらを見て、感激と同時に……この場に呼ばれるのは、もしかすれば兄だったのかもしれぬ、と。
そう過ることがある。
黄鵞ハンゾウ――己の兄であり……水影丸の本来の使い手。
強く、優しく、頼もしい兄。己はいつもその姿を追い、いつか越えようと励んでいた。
黄鵞一族の当主となるのは、本来彼であるべきだったのだ。
兄は数年前から病魔に侵され、今ではアヒルバトルを行える身体ではない。
ゆえに……己が里で成人に達した際、水影丸を譲り受けた。
それからは水影丸との修練の日々。
兄のように強くなること。兄の代わりに強くなること。
一族の当主としての名を背負う以上に、それが己の果たすべき使命なのだ。
……今の自分は兄を越えられているのか。それとも、まだ届かないのか。
隣に立つことが出来なければ比べることも出来まい。
これまでも、この先も、ただ憧憬の影を追い続けるのだろう。
ごくごく個人的な感傷だ。誰に言うものでもない。
故に……ここへ記しておく。
己が水影丸と共にこの地にいる。記すことはその証左でもある。
……この島は嵐が多く、気温差も激しい。ほとんど異常気象だ。
これも、あるいはこの島の内包するアヒルエネルギーの力なのかもしれん…
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焚火で身体を温めているさなか、兄のことを思い出していた。
思い出す、という言い方も少し違うかもしれない。忘れることなど無いからだ。
この島で見られた伝説の数々――アヒル像に呼ばれたアヒルバトラー達――
これらを見て、感激と同時に……この場に呼ばれるのは、もしかすれば兄だったのかもしれぬ、と。
そう過ることがある。
黄鵞ハンゾウ――己の兄であり……水影丸の本来の使い手。
強く、優しく、頼もしい兄。己はいつもその姿を追い、いつか越えようと励んでいた。
黄鵞一族の当主となるのは、本来彼であるべきだったのだ。
兄は数年前から病魔に侵され、今ではアヒルバトルを行える身体ではない。
ゆえに……己が里で成人に達した際、水影丸を譲り受けた。
それからは水影丸との修練の日々。
兄のように強くなること。兄の代わりに強くなること。
一族の当主としての名を背負う以上に、それが己の果たすべき使命なのだ。
……今の自分は兄を越えられているのか。それとも、まだ届かないのか。
隣に立つことが出来なければ比べることも出来まい。
これまでも、この先も、ただ憧憬の影を追い続けるのだろう。
ごくごく個人的な感傷だ。誰に言うものでもない。
故に……ここへ記しておく。
己が水影丸と共にこの地にいる。記すことはその証左でもある。