Eno.595 回向の日記

     、エコー

神秘を飲み込み、その殆どは泡沫の様に掻き消してしまう。

この海にはそういった奇妙な力が働いているらしい……というのは、
あの最強の名を冠した船での旅中に知ったこと。


『わたし』から神秘を剥ぎ取り、生命としての体に固定する力。


その力は、あの時『わたし』を一匹の獣に固定した。
今は……『エコー』と定義付けている。

大きくて黒い人型の、おちゃらけた酒飲みとして認識され、
こうして今ここにいる。力もないし、飛べもしない状態で。



わたしだけならどうってこたなかっただろう。

だけど、知り合いがいるんだ。大事な。だいじな。


ああ。
……俺は……思った以上に、ずっと気を張り詰めていたのかも。
良かった。

船が来たなら、たぶんもう大丈夫だ。