Eno.1032 アリアンロッドの日記

7日目_1

現在曇り。無視できないレベルで海面が上昇し続けている中、ついに救助船が来た。これで間違いなく助かる。……私のほうを砂浜のほうに回さなくて良かった、どちらに乗っているのかわからなくなりそうだ。
帰れるとあって皆花火を打ち上げたり、パーティの続きを始めたりと大騒ぎ。私も乗じて1発打ち上げておいた。作るのは大変だったけど、妙に達成感があった。
船が出るまで1日あるし、私の艦でも救助船でも、はたまた組みかけの船を組んでもいい。ゆっくり悩む時間がある。

で、そうなると持ち帰るものやらの話にもなる。ずっと気になっていた、鞄君(仮称)の格好をつついてみると、面白い事情が聞けた。
彼の世界がかつては宇宙に手をかけるほど発展した、しかし神秘の氾濫で既存の社会秩序が崩壊した世界であること、彼はそんな世界で神秘を司り、裏から世界を守る組織に属していること。神秘の氾濫はモンスターという形を取って人々を襲い、今は都市国家の如く結界で生存権を作って、その中で人々が暮らしているという話だった。彼は帰ったら異世界についての報告書を挙げなければならないらしい。

生存権は半分まで縮小したというから、多くの嘆きと死があった世界なのだろう。それでも新しい秩序が作られて、人々は適応している。きっとなんとかなるはずだ。外野ながら、密かに応援しているよ。

それとオーちゃんの様子も明らかにおかしいのでこれもつつくと、バッテリーの劣化が著しいらしい。また、元の世界に戻っても居場所がないとのことだった。現在見られる知能も、この島の異常性によるもの可能性が高いらしい。

こちらはベテルギウス君に話を持ちかけてみよう。ただのウォーターサーバーに戻っても、崩壊世界ではあの浄水能力はさぞや重宝されるだろう。理解できる、修復できるだけの文明的土壌も見込める。

そうでない場合は、私が引き取ろうと考えている。島の異常性から開放されれば、物質製造の権能は他の修理にも使える。
そして私達トロンは、機械の身体に精霊が収まった形態をしている。オーちゃんを連れ帰れた暁には、分解、再構築する形で“仲間入り”をさせることになるのだろう。こちらは帰れるかわからないから、仮にの話だけど。