Eno.10 戦士の日記

勇者

この世界エゾデスには、勇者と魔王がいる。
魔王を殺せるのは勇者の聖剣のみ。
では、それ以外の人間では?



勇者
卓越した剣技と天与の肉体を持つ
今代の勇者 非常に無口


俺はこいつに、正確にはこいつらに負けた。
魔王軍の加護が効いていても、いくら空中戦に持ち込んでも、
何度叩きのめしても……必ず立ち上がってくる。化け物か?
いや、個人個人の基礎能力は高位魔族や達人の
それに比較すればそこまで高くはないかもしれない。
だが支援、回復、守備、攻撃……
的確な連携はひとりひとりの力を引き出し、何倍にも増幅させている。
そして、彼らは決して諦めはしなかった。

「くそっ俺は……力が欲しかった
 そのためならなんだって……」


▶はい いいえ


「早いって話聞け」


▶いえい はい


「馬鹿にしてんのか?」


▶はい いいえ


「くそがあああああ」



……負けた手前、殴れなかったのを思い出したらムカついてきた。

勇者は強かった。
本当に、こいつならば最強と謳われる魔王を打ち倒すかもしれない。
それにこいつらとなら……もっと強くなれる気がした。
俺は勇者パーティの一員になった。

運命に選ばれる人間……勇者というのは、強い。
世界にそれだけの理由と責任を押し付けられる代償に、聖剣と紋章の加護を得る。
かといって選ばれなかった人間が、槍を折る理由にはなりえない。
自分の運命の転機は、今になって思えば勇者たちに出会ったこと、かもしれない。