おじさん元錬金術師なもんで…血が騒いじゃうねえ!
箱の記録
これはその順番に、簡潔な要約を並べたものである。
ナイフで開ける(α)→降り立った天の使いが地上に水を与え、それがと文明の要となったという、いわゆる創世神話のような話。
斧で叩き割る(β)→海のミネラルで育つ植物(しかもパンが生る)の発明をした記録。軽薄そう。砂利の上で育つかと聞かれて「あー」となっている
焚き火で焼く(γ)→長靴を焚き火で焼いて食う狂人の記録。魔術製の火ではだめらしい。歯ごたえが好きらしい。
解体台で解体(δ)→シーグラスへの言及。この場所の名物であり、"海の魔力が結晶化したもの"というウワサがある。
窯で焼き上げ(ε)→我々の力は元は海の力である、それはゆるぎない事であるから、忘れてはならない…という話。古風で厳格そうな口調だ。
ヒトデの粉掛け(ζ)→技術も資材も努力もつぎ込んだが、"揺蕩う『星』"だけは食べられなかったという話。
美味しく煮込む(η)→実験体00125の記録。エラを持つ生き物の塩基配列を与えた何らかの生物の創造・繁殖に成功し、それを海域X-11に放逐したとのこと。
氷室で冷やす(θ)→海近辺の嵐が激しいこと、そのため周囲の建築物は嵐の対策がとられた構造をしているという記録。やや子供っぽい口調。
落書きをした(ι)→土壌の成分からプラ材を生成する植物を発明した記録。樹脂の出る木を作れば?と言われ納得する。恐らくβと同一。
大砲で撃った(κ)→来訪した人物が海を割るぞ~!と海を割り、その海底から宮殿が出てきたことについてウケてるギャルの記録。
メガホンで交渉(λ)→上層部に目を付けられた、お菓子の木を作れる人物の愚痴。四角い木の実の木を作っているようだ。ほんとはもっといろいろ作りたいし、お菓子の木も作りたい。
弓で射貫いた(μ)→海の力が動植物にも及び、その中には"海の力を持つもの"も存在するという記録。"我々"が、海の力を操れるということもわかる。
キノコボンバー(ν)→実験体00078の記録。通常より排卵数の多い卵生生物を生み出す実験を行ったが、その無精卵が時間経過で有精卵になった。単為生殖の可能性もあるとみて経過観察。
三種の水責め(ξ)→小さな島国にある街で、歴史の研究を行う者の記録。その島国の古い文明について調べており、何かを見ようとしている。広大な海と記述あり。
フライパン殴打(ο)→海の力についての記録。この世界の海がもつ魔素(=魔力?)を結晶化させ奇跡を起こす。これらは「魔術」と呼ばれ、記録者の国を栄えさせたそうだ。
ドラム缶ゴロ(π)→王室が「別の世界に干渉する」魔術を生み出した記録。これにより別世界の知恵を持つ者(転移者?)が集められた。なお記録者はそれらを仲間にするのを断っている
モルタル塗り(ρ)→国内にある街の一つが魔術兵器で焼けた話。魔術師と科学者が対立している。記録者は、轟音が聞こえ手集中できない、家内に話して地下に工房を移動すると記録している。
岩風呂に漬ける(σ)→魔術の炎で薙ぎ払われた家屋を前にして、吹っ切れた様子で術式のアイデアを得たρ記録者の記録。避難の余裕がなかったとのことで、恐らく家内は無くなっている。
石臼で挽く(τ)→引っ越したばかりの何者かの記録。様々な研究資料と共に、王家から"異世界への干渉方法"に関する情報を持ち出し、実行しようとしている。
灯台から落とす(υ)→術式を作る何者かの記録。研究継続も一苦労な状態。戦火で出来た傷が痛む、との記録アリ。
卵をぶつける(Φ)→沈みゆく土地に対して、いつかここに来る人は何を思うかということ、また、術式にお遊びを仕組んでおいたという情報。
洗面台で洗う(χ)→海の選択について考える何者かの記録。閉じた海/開く海という記述がある。
ゼラチンで包む(ψ)→術式が起動され、世界同士の壁が無くなったという記録。水かさが目に見えて上がったと記録アリ。"これで全ての因果は終わる。かつての遺産に縋って権威を争う、醜悪な人間どもの文明が。"
強化銛で貫く(ω)→人は天の使いに大きな力を欲した。その強欲さ故に人間は身を滅ぼし、世界が終わった。
不思議な石を当てる→シーグラス(恐らく、これが例の魔素の塊なのだろう)
αとωの記録の写し
【α】
"天の使いが一人、空から舞い降りた。
天の使いは何もない一面の陸に水を与えた。
天が与えた水は、恵みと共に力を与えた。
恵みが生命を生み、力が文明を興した。
それが、この世界の始まり。"
【ω】
"天の使いが与えた恵みで暮らす民。
しかし、民はより大きな力を欲してしまった。
大いなる力を求める民に、天使は大いなる恵みを与える。
かつてのように、水という形で。
それが、この世界の終わり。"
個人的な考察
また、俺は星の記録の情報を持たない。それによって大きく変わる可能性がある子とは留意して読んで欲しい。
【記録者の繋がり】
水ξ、ドラム缶π、モルタルρ、岩風呂σ、石臼τ、灯台υ、卵Φ、ゼラチンψの記録者はほぼ同一人物と考えて良い。仮に学者Aとする。
斧β、筆記具ι、メガホンλは同一人物である可能性が高い。仮に研究者Bと呼ぼう。
他では鍋η、キノコνの研究記録が同一の記録者であると考えられるが、それほど重要ではないと考えられる。
また、学者Aと研究者Bは恐らく面識はないと考えられる。
【研究者Bの記録】
恐らく化学派の人物。かなり無邪気そうな口調だが、案外真面目である。
彼はすごい。何せ"パンの生る木"を作ってしまうのだから。
それは一旦置いておく。
始まりと終わり、またナンバリング終盤の怒涛の展開などから見て
ギリシャ文字のナンバリングと時系列はイコールなのでは?と考えたが、違う可能性も考えられるのでは、と思った。
メガホンλで記録されていた「四角い木の実に関する記録」
俺はこの木の実の原型を、人間界にある「クッキー状の"栄養調整食品"」と呼ばれる食品ではないかと考えている。
小説などにおいて(実際、本当に配られているかは知らないが)軍のレーションとして描写されることも多々あることで有名だ。
このことと、術師と科学者の対立で戦争が起きたのを合わせて考えると……
研究者Bはその魔術VS科学の戦争に従事させられて、その木の実を作っていたのではないか?
と、ふと思いついた。
そうなると、時系列として前過ぎるのが気になったのだ。
発想が飛躍しているかもしれないが、ありえないとは言い難い。
……まあ、恐らく戦争関係なく仕事として作っていたと考えるのが妥当かつ安定だろう。
そもそも研究者Bが戦争に参加した記録なんてないわけだし。
………ああもう、眠い。少し頭が突飛なことになっているみたいだ。一度休んで考え直すことにする!
全く。
何から何まで寓話のような世界だな、ここは。