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かりかりと倉庫の一角にたった1人分の作業スペースに座り、月明かりとわずかな灯りを
頼りに全ての設計図を照らし合わせて、女は最終的な確認を行なっていた。
⋯その横顔は、誰にも見せられないほど陰気だったことを知る人間は一人しかいない。
あの時はどうにも進まない作業に辟易していたとはいえ⋯口の堅そうな男だったからわざわざ追いかけて
壊す手間を惜しんでしまったが⋯結果的に面白いことが聞けたので、女は興味を向けることはなかった。
「船の素材、必要最低限の設備の位置
打ち合わせと改造、乗組員の装備は大丈夫⋯」
「⋯⋯石の解読が すこし⋯⋯⋯⋯」
うつら、と船を漕ぐ。
ボロボロの書き置きにあった『永遠に続く地平線』だの『脱出不可能な航海』だのおそらくだが
『境界線』を越えることに失敗したものたちの遺言が気掛かりだ。
7日目に大きくこの境界線が曖昧になって外界と接触できるのだと仮定した場合、
今感じているひどい眠気も女にとっては納得のできる情報となる。
外側から、女を封印しようと試みている輩がいるのがわかる。
「さすがに、5回目の⋯ 封印、は⋯つらいですね⋯⋯」
手を打つタイミングを見誤ったか、と認めざるを得ない。
大祖母の援助を各方面に停止したことによって焦った一部が行なっているのだろう。
今、今は、まだ まずい。解読の用紙にみみずを描いたところで、ナオンキさんが倉庫に入ってきたのは
まさしく、天啓だったといっても過言ではなかった。