Eno.49 七五三兄妹の日記

Q5:旅先での特別な体験は?

トロピカル因習アイランド島に流れ着いてから、七日目の朝。
浜辺に救助船らしき船舶がやって来て、元の世界まで乗せて行ってくれる、と言う話を聞いた。

救助の話はともかく、元の世界に、などと言うと、「最近よく聞く異世界系?」と茶化されそうなものだが、
この島に隠されていた記録を読むに、本当に異世界だったらしい。
驚くような、納得するような、そんな気持ちで島から出るための荷物を整理する、

「思い返してみれば、変わったことばかりではあったね。
 一日の中で何度も急変する天気や、パンになるきのみや、祠やお地蔵さまに突撃する動物や……」

「どうぶつさんも、おにがみさまに、なむなむ、なの!」

(殆どの動物は、供物かごはんになったことは黙っておこう)


食べきれないほど動物が捕まったので、そのうち何匹かをふれあい動物園よろしく、ふぃなはモフモフしている。

救助船で送ってもらえると言っても、島の周りは水平線しか見えないような状態なので、
数日がかりの船旅になるのではないだろうか、と言うのがすとらの予想だ。
遊びたい年頃の子供もいるので、遊び相手にもなってくれる動物を連れ込むのは、大人も受け入れてくれるだろう。

持っていく荷物は、船の上で摂る食事だけでなく、島で過ごした思い出の品も。
ちょっとばかり寝苦しい夜も、心地よく眠れるようにと作った百花のリース。
嵐の後に漂着した船を探検して、そこで見つけた不思議な石や花。
その時のことを兄妹で話しながら、荷物にまとめていく。

「どれも、滅多に体験できないようなことばかりだけれど……
 この島でだけって言うと、あのお祭りと言うか、オニガミさまに祈る儀式は驚いたね」

「おそらの、きらきら! すごかったの!」

「うん。元の場所に戻った後は、同じように石を握りしめて祈っても、あんな風に空が光ることはなさそうだ。
 写真を撮っている人もいたから、結木村に行った時に、焼き増しして分けてもらおうかな」

「わあい!」


そんな話をしているうちに、船に持っていく荷物もまとまって。

「船が出るまで、まだしばらく時間があるから、
 ごはんだけじゃなくて、おやつも作っておこうか」

「うん! あのねあのね、パンケーキさん、たべたいの!」