Eno.328 魔王マイダスの日記

魔建築記録:いつか来るあなたのために

【天上の花壇】
この島の一番高い所から、さらに高く建てられた塔。その頂上にある花壇
島に自生する有用な植物と、マリーゴールドの花が植えられている
その中央には、ロバの被り物とマントを着せられたマネキンが案山子にされて鎮座している
マネキンの額の黄金色の宝石は、この世界のものでない原理で土に栄養を与え続けている


-------------------------------------

*マネキンは微笑む。
沈みゆくこの島を、いつか沈むこの花壇を変わらない顔で守り続ける



この世界の成り立ちを思えば、きっと『沈まぬ塔』など建てることはできないのだろう
だとわかっていても、抗いたかった
世界をつなぐ力を封じられないならば、いつかまた私の世界を引きずり込む
いや、私の世界でないところからも引き込み続ける
繰り返しこの島に訪れている者もいる以上、それは事実なのだろう

それでも、この世界が過去に遺したものはまだ続いている
奇妙な植物は、有用な家畜は、真実を伝えるための文献はここにあり、続いている
この世界は、まだ死んでいない

それを私は、新たにここに来た者に伝えたい
花壇に埋めたボトルメッセージにこの植物たちの力をしたためて
抗いが無駄で、徒労だったとしても、そのメッセージは誰かに届くように
どこよりも高い塔は、眠りについたこの世界を続けるために
かつて世界が活きていた証を、私の世界の証と共に


-------------------------------------

「……あれ~☆
こんなところに写真が落ちてる、変だな~」


「これは……私たちが映ってる!?
木の実原ァァァァァァァァァァァ!私たちの写真があるうううううううう!!」

「落ち着いてください雨水さん
これは私の考えなのですが……」

「この写真、この島にいるはずのクソデカい力士は写っていません
もしかすると、クソデカい力士がこっそりと記録を残してくれたのかもしれませんよ」

「う~ん
それじゃあ、問題ないのかぁ」