Eno.972 カデルリンド・ウズハラの日記

波立つ空へと想いを馳せて

「そういう事情で……鍋パーティーなのに鍋が届けられなくって……
 ごめんって思っていて……」

「いーよ別に。鍋は家にもあったし……
 特に問題なく実施したし、パーティー自体は」

「だから、無事に帰ってきた今!
 仕切りなおそうって思ってるんだ」


「……え、今日やるって意味?」

「うん」


「いやパーティー自体はこの間……
 ……まあいいか。材料あるし。メシの機会は多いほどいい」

「じゃ、今日こそ鍋!持ってきたから……」


「……え、それだから、流されたっていう鍋だろ?」

「うん」


「……衛生的にダメ。そっち置いといて」



*** *** ***

「んで、まさかその鍋をすっかり置いて帰るとは。
 フツーに場所取るから邪魔だし」

「……で、おまけにそれを届けに行ったら
 こうして流れ着くというわけだし」


すっかり力を失くした羽と、なんだか見慣れた顔ぶれと。
いつもよりもよく動く身体は、なんとなく見知った感覚だった。

少しずつ上がる水位は、いよいよ束の間の時間の終わりを告げている。
残念でないことはないが、寂しいことはない。楽しみなんて全部一過性だ。
過ぎ行くからこそ今が楽しい。次を待つ時間が誇らしい。

友人への思い出話はどうしてやろう。それなら、万全な状態で帰らなきゃいけない。
なんて。

「……」

「今のオレはそんなこと考えてるって言ったら、
 オモロい?な、カミサマ」



協力関係になってから、起きてるところなんてみたことないから。
質問に返事が返ってくることなんて一度もないのだけれど。

自分にとってもう一人の見守ってくれるオトナ。
心境に変化があったときくらい、少しは話しかけたくなるものなのだ。

「やっぱさあ、あんまり人生全部はあげたくねえかも。
 共生でやってくとかどーかな、カミサマ」



後出しじゃんけんの交渉も、目覚めたころに改めて。