波立つ空へと想いを馳せて

「そういう事情で……鍋パーティーなのに鍋が届けられなくって……
ごめんって思っていて……」

「いーよ別に。鍋は家にもあったし……
特に問題なく実施したし、パーティー自体は」

「だから、無事に帰ってきた今!
仕切りなおそうって思ってるんだ」

「……え、今日やるって意味?」

「うん」

「いやパーティー自体はこの間……
……まあいいか。材料あるし。メシの機会は多いほどいい」

「じゃ、今日こそ鍋!持ってきたから……」

「……え、それだから、流されたっていう鍋だろ?」

「うん」

「……衛生的にダメ。そっち置いといて」

*** *** ***

「んで、まさかその鍋をすっかり置いて帰るとは。
フツーに場所取るから邪魔だし」

「……で、おまけにそれを届けに行ったら
こうして流れ着くというわけだし」
すっかり力を失くした羽と、なんだか見慣れた顔ぶれと。
いつもよりもよく動く身体は、なんとなく見知った感覚だった。
少しずつ上がる水位は、いよいよ束の間の時間の終わりを告げている。
残念でないことはないが、寂しいことはない。楽しみなんて全部一過性だ。
過ぎ行くからこそ今が楽しい。次を待つ時間が誇らしい。
友人への思い出話はどうしてやろう。それなら、万全な状態で帰らなきゃいけない。
なんて。

「……」

「今のオレはそんなこと考えてるって言ったら、
オモロい?な、カミサマ」
協力関係になってから、起きてるところなんてみたことないから。
質問に返事が返ってくることなんて一度もないのだけれど。
自分にとってもう一人の見守ってくれるオトナ。
心境に変化があったときくらい、少しは話しかけたくなるものなのだ。

「やっぱさあ、あんまり人生全部はあげたくねえかも。
共生でやってくとかどーかな、カミサマ」
後出しじゃんけんの交渉も、目覚めたころに改めて。