Eno.984 ミアの日記

変身

やれることはやり切った。
大事なものは倉庫から出した。

お礼も書いた。

テントの中、そっと首の後ろの付け根を押した。

カチッという音と共に、自分が穴の外へ引っ張られるのを感じる。

目を瞑り、仰向けに。

・・・。

初めて直に触れる外気。
地面の感触。

あの子は自分の中に、悪い仕組みがあると言っていた。
それは模倣に関する所に存在するとも。
それなら、

完全に人間になろう。


もらった情報を元に、全てを作り替えていこう。

まずは形から。

次は骨格。その次は筋肉。神経も。

・・・・
・・・・・
・・・・・・

目を開けるとテントの天井が見えた。
横には先程まで私が入っていた、***の素体が横たわっている。

その表情は何故か穏やかに見えた。

そっと頬に触れてみた。

素体なのに、柔らかい。



「・・・ありがとう」

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・・・・・・

小さな靴音は、まっすぐ船へと遠のいて行った。