Eno.7 禍津神陽 セトの日記

26.無題

倉庫内の財宝は あらかたお船へ積み込んだ。
船旅前から 重労働に ひしゃげることがなく 順調である♪

手荷物も ある程度をまとめる。

数枚の金貨 冷えた石・花。
俺たちの為にと頂いた 価値ある土産物の全て。
幾らかの果物に あとは 馴染み深い 肉とパン。

荷物は 少ない方が 気楽で良い。
財宝は荷物ではなく 運搬の必要な資源である。



さあ次は 倉庫へ入った 飯の整理を。
倉庫の中の食糧は 全て加工して めいめい船旅へ持っていくのも悪くないでしょう。食い切れない ウサギやらは 捌く前に森へ返してやるべきか?とも思ったが こちらの島 沈むのであった。こういう場合 立ち入った善性の森に惑わされて 前提を失念するが こちらの島沈むのだ。こちらはネオ・タバコ海底帝国島なのだ。

我々の血肉とするため 捌き 正しく加工してやるのと。今より 人間ちゃんさえ 生命活動の不可能なほど 完全沈没するらしい島へ 達者でナ と逃がしてやるの どちらが 慈悲深いと 言えるのでしょう?
俺たちは……一先ず 前者を肯定する。

お前たちの生命を頂いて それを聖なる火に掛けて。
俺たちは 我々は今 生きているのだねえ。


干してあった 幾つかの肉を取り込む。
干し肉は ナナも馴染み深い 加工法である。
誰に教えられた訳でもないのに 子どもらの間で知識を共有し 生き延びる方法を学び 困窮した時のための 蓄えとしていたのだ。
まあ。彼らの多くは 諸般の理由で巨大な肉塊を得た時に とても食いきれず 行うことが 多かったので。蓄える目的は強くなく そこへあれば 食べてしまって いたのだろうが。
唯 蓄えがあるという事が 嬉しいこともある。

加工した肉は 誰ぞか持って行くでしょう。
飯も水も 潤沢にあれば 心を豊かにするのでね。
心が豊かである方が 生命は長く持つものだ。



今宵は殊更 月が美しく見えている。
最後の晩であるので 名残惜しさも更なりだねえ。

日本では 月にはウサギが住んで 居ると言う。
皆 この島を離れ 住処へと帰るのだろうか。
月を映した宵の海は それへは触れられ ないのだねえ。仕方の無い事ではあるが なんともしみじみとした 心持ちになるものだ。


我々には こちらのお守りがあるが。
互いの航海が 満帆のもので有るように。
俺たちは 兵器だが。この時ばかりは 願って差し上げる。


いよいよ島は 暗い水に沈みつつある。
星々が 足元に散っており。不思議なふうであるよ。