怪魚
勇者たちとの旅の途中。
里帰りする機会を得た。
たった10年、されど10年、あっという間に過ぎた時間。
村はあの日壊滅的な被害を受けたが、
今ではわずかな人数が集まり、細々と暮らす集落になっていた。
村長は俺を見るなり「ばあさんや今日のポンポンリングはまだかいのう……」と
だいぶボケていたが(一昨日食べたらしい。別にドーナツじゃなくてもいいがちゃんと食わせてやれ)
勇者一行を温かく迎え入れてくれた。
昔からアッケシーのカキはいっとううまい。
ただ、近頃になって再び怪魚が現れる兆しがあるという。
普段は海につながる湖底で、眠るように存在しているらしいが。
暗雲立ち込める中、突如として轟く暴風と降りしきる雨の音。
俺たちは湖へと向かった。

それはまるで出迎えるように、悠々と泳いでいた。
神官が教皇に掛け合って配備してくれた(教皇すごいな)竜砲や竜槍と
湖上では僅かな足場である船があり、なにより付き合ってくれる面々がいる。
因縁を清算する舞台は整った。
うねり、飲み込まんとする水流を破する魔法が飛び交い、
砲が放たれ、鱗の隙間目掛け刃と矢が正確に突き刺さる。
竜巻をも乗りこなす、破竹の勢いで勇者たちは怪物の体力を削っていく。
あんなにも脅威だった怪物が、全てを破壊せんと見えた暴威の化身が
その命の尾を槍の切っ先で捉えられるところまで来ている。
こいつも、生きているのだ。

構え、高く、高く飛んだ。
怪魚の巨体、その命核を狙い、飛び込む。
槍が確かに、心臓を捉えて穿ち、貫いた。


…………
そうして、陽が昇った。
雨と湖水がきらきらと光る。
俺は天を見上げ、それから仲間たちのほうへと歩き出した。

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里帰りする機会を得た。
たった10年、されど10年、あっという間に過ぎた時間。
村はあの日壊滅的な被害を受けたが、
今ではわずかな人数が集まり、細々と暮らす集落になっていた。
村長は俺を見るなり「ばあさんや今日のポンポンリングはまだかいのう……」と
だいぶボケていたが(一昨日食べたらしい。別にドーナツじゃなくてもいいがちゃんと食わせてやれ)
勇者一行を温かく迎え入れてくれた。
昔からアッケシーのカキはいっとううまい。
ただ、近頃になって再び怪魚が現れる兆しがあるという。
普段は海につながる湖底で、眠るように存在しているらしいが。
暗雲立ち込める中、突如として轟く暴風と降りしきる雨の音。
俺たちは湖へと向かった。

海湖の主チライヤサン
アッケシー湖に古くから棲む魔物
60mはある巨大魚
それはまるで出迎えるように、悠々と泳いでいた。
神官が教皇に掛け合って配備してくれた(教皇すごいな)竜砲や竜槍と
湖上では僅かな足場である船があり、なにより付き合ってくれる面々がいる。
因縁を清算する舞台は整った。
うねり、飲み込まんとする水流を破する魔法が飛び交い、
砲が放たれ、鱗の隙間目掛け刃と矢が正確に突き刺さる。
竜巻をも乗りこなす、破竹の勢いで勇者たちは怪物の体力を削っていく。
あんなにも脅威だった怪物が、全てを破壊せんと見えた暴威の化身が
その命の尾を槍の切っ先で捉えられるところまで来ている。
こいつも、生きているのだ。

「うおおおおおおッ!!!!!!」
構え、高く、高く飛んだ。
怪魚の巨体、その命核を狙い、飛び込む。
槍が確かに、心臓を捉えて穿ち、貫いた。

(ようやく……終わったのか……)

(……安らかに眠れ)
…………
そうして、陽が昇った。
雨と湖水がきらきらと光る。
俺は天を見上げ、それから仲間たちのほうへと歩き出した。

「ただいま」
一同
「誰?」