きっかけ
いつぞやかの変な勇者が、現在この周辺に来ているらしい。
そんな噂を聞いたのは、観光都市オタールに滞在している最中だった。

「(ふーん、この辺来るんだ。 逃げとこ。)」
面白そうなので興味はあったが、その時はまだ長い旅はしたくないという思いが勝っていた。
同時に、今遭遇してしまうとその面白さに釣られてホイホイ着いていってしまうな…という危機感も。
だから、彼らを一目見ようと集まる人々に反して、ボクは都を出て森に籠りに行ったのだ。
そうして、森に籠り始めてから早数日。

「(……勇者一行は、そろそろ都に着く頃かな)」
などと考えながら、暇潰しにライアーを爪弾いていた。
───その時。
遠くからこちらへと近付く、何者かの気配を感じとる。
いや…何者かっていうか……
どう足掻いても変な感じするからこれ……
これ………、これさぁ…………

「(………もしかして勇者一行?)」
なんで避けたはずなのに遭遇するの???
いやまだわからん、人違いかもしれん。
こんな変な感じする者が何人もいてたまるかよ………
なんて考えているうちに逃げ遅れ、ついに勇者一行との対面を───

「うっわ」
家の中で変な虫を見つけた時みたいな声出た。
あと『今うわって言った?』みたいな言葉も聞こえた気がする。気のせいかな。
野生 (?) の 勇者一行 が あらわれた !

吟遊詩人 は どうする ?
▶にげる あいさつ
たたかう? うたう?

にげる ▶あいさつ
にげる にげる

「…こほん。(咳払い)(誤魔化し)
やぁやぁ、これはこれは…かの有名な勇者とその仲間達ではないか!
こんなところでどうしたんだい?」
誤魔化しきれているかわからない台詞を仰々しく吐きながら、思う。
なんか変な者、増えてね? と。
トンチキ勇者ご一行がよ… と。
「(ダメだコイツら、面白そうすぎる)」
こうしてこの後、紆余曲折あったかもしれないし なかったかもしれないが、
ボクは吟遊詩人として、勇者パーティーの仲間入りを果たすことになるのだった…………