Eno.328 魔王マイダスの日記

聖騎士記録:魔が消えし頃

「……お父様がいなくなってから、もう一週間になるのね
親王派の動きは?」

『変わりなく、各地で忠臣の者たちが説得を行っております
ですので問題は……』

「……もう報は届いてるの、反魔王派の魔術師たちの居住地に強襲をかけた親王派たちがいるって」

『それは……ご存知、でしたか』

「なんの前触れもなく嵐が起こって、同乗していた従者の遺体が流れ着いた
……これが自然に起こることなんて思う人はいないでしょう?」

『ですがマリー様、陛下はまだ……』

「隠した名に触れるものではありません、私たちは亡命の身なのですから
それに……いつまでも悲しんでいては、魔王の娘として名折れです」


「……お母様には、適当に言い訳をつけておいて」

『マリー様、どちらへ!?』

「私が新たな、この国の旗になります。ただそれだけのこと」


お父様、あなたがまだ生きていることは私も信じています
だけれど待つだけでは、この国の全てが滅んでしまいます
一流の建築士に、建ててきた全てが壊されてしまった跡を見せたくはないでしょう?

幼い頃から勉強より鍛錬をすることを、自由にさせてくれたこと、感謝します
これはその恩返しであり、民にその力を魅せるための時です

私は再び、この地に統率を与えてみせます。