Eno.809 黄鵞ハトリの日記

闘鴨の書:二十の巻

アヒル島を後にし、元の地へと変えるための船の上にてこれを記す。

出航時の慌ただしさはどこへやら。
今は非常に穏やかで、作業に追われない時間を過ごしている。
いや、穏やかかは分からんな。キャプテンバトルというものが今目の前で勃発し始めた。
船の上でも賑やかなのは変わらないらしい。



全員がこの船に乗っているわけではない。
マツド殿は、アヒル島で行おうとしていた実験があったようだ。それを完成させるために島へと居残った。
決して自殺行為ではなかろうと、皆信じて別れたのだろう。
それに応えるかのように、出向して間もない頃……島の上空へワープホールが発生するのが見えた。
時空を歪ませ、繋ぐ穴……このようなことが実現できるとは、驚いた。

島に蓄積したアヒルエネルギーを利用したものだろうか。己は研究者ではない為、詳しい原理は何もわからないが……
とにかく、彼の実験は成功したらしい。
あのワープホールがあれば、島から出ることもできるのだろう。
それに、彼が熱意を注いでいたものが少しでも報われたのなら、良いことであると思う。
……出航の時間に間に合わず、島に残されてしまった者が居たのだが……彼ならばそちらも送り届けてくれることだろう。



海を進む船はもう一隻。この島を見つけ、救助に来てくれた船だ。
少し前を進み、こちらの船を先導して貰っている。
彼方の船に乗った者は2人。そのうち1人は黒ローブの少年だ。
救助船の様子を眺めていたら、目が合った。
嫌そうな表情を返されたのが見えたな。うむ、元気そうで結構なことだ。