泡沫:6
「あのものたちは砂浜に上がったやつを珍しいと言った」
「どうかそれを引き取らせてほしいと」
「スクアーマは、お前の父親は、珍しい事例なのだと」
「それから、私たちの生活をこれから先ずっと保証しようと話していた」
「観察し続けて、出た結論だと」
「今まで通りの生活を続けてくれて構わない。足らないところは、私たちが不自由ないように努めよう」
「そう話していたのだ」
「ただし、それは彼と引き換えだと」
「…」
「お前が、いつもよりも早く起きていればなあ」
「目にできたのだろうが…」
村の中で血は濃くなろうと、それは彼らにとって関係がなかった。
魚人は、そとにでられない。
外から人間を待つしかなく。
攫うしかない。
そうでなければ。
このままゆるりと終わっていく。
だから、自分たちの平穏と引き換えた。
死んだ人間は動くまい。
「…………」
「もう、いい」
彼の口からは、それだけが告げられている。