Eno.402 税理士の日記

夢百夜

37年前にある夢を見た。
暖かな草原に、私のいた盗賊団のメンバーが集まっていた。

「今日はどこで襲撃するでやんすか?親分~!」

盗賊団でも私と仲のよかったヤンソーがいた。彼は高価な眼鏡を大事にしていて、特徴的な喋り方をしている。
10年前に疫病が流行ったときに真っ先に死んでしまって、亡骸をなくなく当時のアジトに眼鏡ともども埋めたんだった。

その疫病はヤンソーだけでなく他のメンバーも死に至らしめたし、親分だって後遺症が残ってしまった。

私には何もなかったことから、耐疫耐病のスキルがあることに気付いた。

「お、スクッタ!早く来いよ!いつまで待たせんだよ!」

ぼうっと遠くから眺めていた私を呼ぶ声は嫌味ったらしいラエルナだった。
20年30年の盗賊団の歴史には何度かゴタゴタがあり、彼女が疫病の前か後かにゴタゴタで抜ける!といって居なくなったのを覚えている。

嫌味ったらしいが、私の知る最初のメンバーだったから、誘われるようにメンバー達の元へ向かった。


「ようやく来たか、スクッタ」

私を呼ぶ重い声は私を誘ってくれた親分だった。
親は別に居るのだから変な呼び方だとは思うが。
しかし、親分は私と会ったときの若々しい状態であった。不思議なものだ。

私はこの状況に慣れなくて、質問をした。
”全員で集まって何をするんですか?”と。

「スクッタ」
「頼みたいことがあるんだ」

「もし俺たちが死んだら、お前が亡骸を埋めてくれ」

何を言っているんだ、と思ったが私は素直に頷いた。

「そうしたら、百年待っていてくれ」
「そしてまた、いつか同じ事をやろう」

訳が分からなかったが、それは真剣なトーンだったのもので。

「じゃあ、またいつか」

「またな」「またな」「またなー!」



夢から覚めたとき、私は森のアジトとも呼べないただ1人の隠れ家にいた。
隣には横たわっているもう息のない老人がいて、少し遅れて親分が死んだのだと理解した。老衰による死だ。


私は夢にあった通り、近場に埋葬した。




税理士になって。勇者パーティーに入って。
いつの日か、その懐かしくも都合のよう夢を思い出す。
その度に私はこう言ってしまう。

「百年はまだ来ないんだな」