Eno.2 ユーニス・ベイカーの日記

帰路

――話にあった通り、水位は留まることを知らず、
あっという間に島の至る所へ海水が流入していった。
皆が知恵を出し合い、助け合い、思い思いの物を創造していったけれど
それも全て飲み込まれ、今や木々の一部が見えるだけとなっている。

全て、友人が話していた通りだった。
迷い込んだ島で、一週間活動した後、水底へと沈んでいく。
話半分でしか聞いていなかった光景を、私は今正に目の当たりにしている。

これがもし、助け合う気のない面子だったらどうなっていただろう。
物資の乏しい島で、争いが起きていたらどうなっていたのだろう。
魔力も制限され、ただの人間となった私一人では、きっと生き残れなかったと思う。

そんな中でも、この島に流れ着いた人々は、誰一人として嫌味をいう人は居なかった。
こんなにも人の温かさに触れられたのは、久しくなかった気がする。

島から脱出した友人の言ってたことは、全て本当だったんだ。
そこには誰もが平等で、互いを思いやる事ができていた。
知らない世界の人間でそれが出来たのだから、同じ世界で出来ないわけがない――

夢物語とばかり思っていた言葉も、今なら少し信じても良い気がする。
私も、帰ったらこの土産話を彼にしてあげなくちゃいけないわね。
其の上で、彼ともう一度、この島でのお話を、真剣に話してみたいと思う。