おとぎばなし
………おや、私のお話を聞きたいのですか?
珍しいですね。こんなところまで……え?里の長に聞いてやってきた、ですか。
なるほど。でしたら、良いでしょう。そこに座ってください。お茶も出しますね。
「 」
お礼だなんて。良いのですよ。
ーーーーーーー
それで……ええ。"勇者"の物語ですよね。
では。
かつて、魔王が………
「 」
え?これではない?"金色のおはなし"?
………分かりました。語りましょう。
その覚悟があるのなら。
………かつて魔王を倒した勇者たちは、人の王達により裏切られました。
聖女は汚され、魔法使いは言葉と絆を封じられ、聖騎士は尊厳を奪われ
勇者は死に、そして、剣士は狂わされました。
……ええ、勇者は殺されたのです。
しかし、狂った剣士は勇者が死んだことを認められませんでした。何より彼らは、無二の友同士でしたから。
誰よりも長く共に旅をしていた剣士は、"勇者"となりました。
選定された訳ではありません。自らを殺し、その姿を変え、"生きている勇者"として振る舞いました。
その振る舞いは……独善的で、狂気的でした。
彼は、勇者の名を遺し続けるために
勇者の名を永遠にするために、ありとあらゆる"歪み"を排除し続けました。
魔物、犯罪者、ひいては………歪みと断じたあらゆる全て。その中には、少し疑問を持っただけの幼子すらいました。産まれたての獣もいました。
しかし、世間的にはまったくもって"正しい"ことをしていましたから。次の台の王は、それを利用しようとしました。
……そうして、また王はいなくなりました。歪みと断じられました。
彼は死ぬまで"勇者"を演じ通しました。まるで初めから、剣士などなかったかのように。
ありとあらゆるを断じて正す彼に、人間は、魔物達は……とうとう手を取りました。
そうして彼を"魔王"として、魔族から"勇者"が選定されて。
最期に彼は、とうとう力尽きたのです。
……けども、彼の功績はあまりに大きかったのです。
厄災の殲滅、病原となりうるものの根絶、犯罪者の全処刑。
"彼"に救われた者もあまりにも多かった。
だから、ひとびとに私達は提案しました。
『"勇者"の名は語り継ぎ、"魔王"は絶対悪として語り継ぐ』と。
「 」
……ええ。その勇者こそ、今も語り継がれる『青空と旋律の勇者』。
魔王こそ、今も語り継がれる『空の魔王』。
「 」
………はい。私は、かつての……かつて排された勇者一行の聖女でした。
「 」
ええ。ネリスと申します。既に瘴気のせいで人間ではありませんがね。
ミィカからきいてきたのでしょう?"勇者様"。
「 」
「 」
………そのポプリと宝玉は
「 」
………なるほど。ええ。1度だけ……"彼"が里に来たことがあるのです。
ある時、海辺の村で姿を消したと思ったら、戻ってきて。
それで、私達に言ったのです。「これらをずっと大切に預かっていて欲しい」と。
そのポプリと、海の宝玉。
そして、このアンティークのナイフと、外套。
「時間が無い」という彼のことを、どうして否定できましょうか。
私達は、それらを預かることにしました。
ついぞ、彼が受け取りに来ることはありませんでしたが。
「 」
ええ。盗まれたのです。それらは。
ポプリも宝玉も、一度盗まれて……今、ここにかえってきた。
「 」
……ありがとうございます。
これらは、失う訳にはいきませんから。
ええ、ご心配なく。きちんと、代わり……いえ、「青空のサークレット」の場所までご案内しますから。
「 」
……えっ?『空の魔王』は、本当はどう言う人物だったか、ですか?
そうですね……偉そうで、強引で……
「 」
……だけど、仲間思いで、誰よりも臆病で繊細なひとでしたよ。
「 」
『空の剣士』…………
『琥珀を指し示す者』。
丁度、あなたのような黄金の長い髪と、広大な海のような蒼い目をした方でしたね
珍しいですね。こんなところまで……え?里の長に聞いてやってきた、ですか。
なるほど。でしたら、良いでしょう。そこに座ってください。お茶も出しますね。
「 」
お礼だなんて。良いのですよ。
ーーーーーーー
それで……ええ。"勇者"の物語ですよね。
では。
かつて、魔王が………
「 」
え?これではない?"金色のおはなし"?
………分かりました。語りましょう。
その覚悟があるのなら。
………かつて魔王を倒した勇者たちは、人の王達により裏切られました。
聖女は汚され、魔法使いは言葉と絆を封じられ、聖騎士は尊厳を奪われ
勇者は死に、そして、剣士は狂わされました。
……ええ、勇者は殺されたのです。
しかし、狂った剣士は勇者が死んだことを認められませんでした。何より彼らは、無二の友同士でしたから。
誰よりも長く共に旅をしていた剣士は、"勇者"となりました。
選定された訳ではありません。自らを殺し、その姿を変え、"生きている勇者"として振る舞いました。
その振る舞いは……独善的で、狂気的でした。
彼は、勇者の名を遺し続けるために
勇者の名を永遠にするために、ありとあらゆる"歪み"を排除し続けました。
魔物、犯罪者、ひいては………歪みと断じたあらゆる全て。その中には、少し疑問を持っただけの幼子すらいました。産まれたての獣もいました。
しかし、世間的にはまったくもって"正しい"ことをしていましたから。次の台の王は、それを利用しようとしました。
……そうして、また王はいなくなりました。歪みと断じられました。
彼は死ぬまで"勇者"を演じ通しました。まるで初めから、剣士などなかったかのように。
ありとあらゆるを断じて正す彼に、人間は、魔物達は……とうとう手を取りました。
そうして彼を"魔王"として、魔族から"勇者"が選定されて。
最期に彼は、とうとう力尽きたのです。
……けども、彼の功績はあまりに大きかったのです。
厄災の殲滅、病原となりうるものの根絶、犯罪者の全処刑。
"彼"に救われた者もあまりにも多かった。
だから、ひとびとに私達は提案しました。
『"勇者"の名は語り継ぎ、"魔王"は絶対悪として語り継ぐ』と。
「 」
……ええ。その勇者こそ、今も語り継がれる『青空と旋律の勇者』。
魔王こそ、今も語り継がれる『空の魔王』。
「 」
………はい。私は、かつての……かつて排された勇者一行の聖女でした。
「 」
ええ。ネリスと申します。既に瘴気のせいで人間ではありませんがね。
ミィカからきいてきたのでしょう?"勇者様"。
「 」
「 」
………そのポプリと宝玉は
「 」
………なるほど。ええ。1度だけ……"彼"が里に来たことがあるのです。
ある時、海辺の村で姿を消したと思ったら、戻ってきて。
それで、私達に言ったのです。「これらをずっと大切に預かっていて欲しい」と。
そのポプリと、海の宝玉。
そして、このアンティークのナイフと、外套。
「時間が無い」という彼のことを、どうして否定できましょうか。
私達は、それらを預かることにしました。
ついぞ、彼が受け取りに来ることはありませんでしたが。
「 」
ええ。盗まれたのです。それらは。
ポプリも宝玉も、一度盗まれて……今、ここにかえってきた。
「 」
……ありがとうございます。
これらは、失う訳にはいきませんから。
ええ、ご心配なく。きちんと、代わり……いえ、「青空のサークレット」の場所までご案内しますから。
「 」
……えっ?『空の魔王』は、本当はどう言う人物だったか、ですか?
そうですね……偉そうで、強引で……
「 」
……だけど、仲間思いで、誰よりも臆病で繊細なひとでしたよ。
「 」
『空の剣士』…………
『琥珀を指し示す者』。
丁度、あなたのような黄金の長い髪と、広大な海のような蒼い目をした方でしたね