終:いつか少女は伝説を
船に乗る。ともだちに贈り物をして、
海面を眺めていた。
様々なことがあったアヒル島。
素敵な思い出の数々を、忘れない。
そして気が付いたらぼくは──

「…………あれ?」
見覚えのある家の前。
扉叩いたらママが出てきて、
ぼくを見つけて抱き締めて、大泣きしていたの。
…………そっか。
1週間も消えてたもんね、
心配されて当たり前だよねぇ。

「──ただいま!」
冒険家は生きて帰ってこそ、でしょ?
ぼくはちゃんと、帰ってきたよ。
話したいことがいっぱいあるの。
ママ、聞いてくれるよね。
◇

「──そして少女は船に乗り、
しばらく時を過ごした後に、
気付いたら元の世界に居たのです」
「少女の短い冒険は終わりました。
宝石みたいな宝物を、いっぱい抱いて」
語り終える。拍手の嵐。
えへ、とペリペティアは笑っている。

「聞いてくれてありがとう!
これはぼくの実際に経験した、
不思議な冒険のお話でした!」
あれから、数ヶ月。
ぼくは今、故郷から離れた街にいる。
傍らにはエレルお兄さん。
ぼくの故郷でアヒルバトラーをやっていた、
パパとぼく以外の人間だ。
冒険に出たいと強く願うぼく。
だけど女の子の一人旅が心配だという、
ママの気持ちも確かにそうで。
それでもこの憧れを止められなかったぼくは、
近所のエレルお兄さんに相談したんだ。
そしたらね。

「ははっ、なら、
俺がついていってあげてもいーぜ、
ペリペティアの嬢ちゃん」
ついてきてくれることになったんだ。
旅の資金はあるし、それならと、ママもOKを出したの。
だからぼくは、アクアを連れて旅立ったんだ。
それが、ここまでの経緯。

「……オーコ、リユ」
つぶやいた。
冒険はまだ始まったばかり。
語れるようなことは、そこまでないけれど。
いつかまた会えた時、いっぱい語れるようにするからさ!
だから──

「おい、ペリペティアの嬢ちゃん。
そろそろ移動しねぇと間に合わねぇぞ!」

「はぁい、エレル! 待ってー!」
大きなその背を追い掛ける。
傾いてオレンジに染まる港町。
帽子かぶって、サンダルの音鳴らして!
パパ。ぼくはパパみたいな冒険家になる。
絶対に帰ってくる冒険家にもなるよ。
パパにも負けない冒険をするから、
どうか遠くで、見守っていて欲しいんだ。

──ぼくの伝説はまだ、始まったばかりだ。
【To be continued……?】